歴史が面白い43

令和2年6月14日~6月17日

  <6月14日>

北京第2波回避へ厳戒。食品卸売市場を巡る新型コロナウイルスの集団感染が判明した中国・北京市で、当局は再び厳戒態勢を敷いた。14日に「非常時」を宣言。市場関係者ら7万6449人にPCR検査するなど感染者の把握と隔離を急いでいる。

 

  <6月15日>

東京、新たに48人感染。東京都で15日、新たに48人の新型コロナウイルスの感染者が確認された。緊急事態宣言の解除後で1日最多を更新した。夜の街に関連した感染が依然として目立つ。都は接客飲食店などを監視つつ19日には休業要請を全面解除し、経済活動の回復を図る。

 

雇調金引き上げ厚労省雇用調整助成金の政策を再び見直す。助成上限額を1日1万5千円に引き上げることに伴い、申請や支給が終わった企業も対象に加える。

 

新型コロナ陽性率0.5%山形大学医学部は15日、新型コロナウイルス抗体検査の調査結果を発表した。1009人のうち5人から陽性と見られる値を検出。陽性率は0.5%。検査は6月1日~4日、付属病院で一般患者の採血から個人情報がわからない形で実施した。

 

  <6月16日>

分散登校・短縮授業4割で。全国主要市区の公立小中学校の4割超が、新型コロナウイルス対策で分散登校や短縮授業に取り組んでいることが日本経済新聞の調査で分かった。授業不足を補うため9割が夏休みを短縮する。家庭学習分も授業として算入するなど年間の学習課程を終える方針。学びの質を確保できるかが課題となりそうだ。文部科学省は5日、一部の授業内容を家庭学習など教室外で補うことを認める通知を出した。小6の場合、国語なら文章を読むことや考えたことを書くこと、算数では教科書の問題を解くことなど例示した。

 

抗体保有欧米より低く厚労省による新型コロナウイルスの初の大規模な抗体検査の結果が16日、公表された。過去に感染したことを示す抗体保有者は東京で0.1%、大阪0.17%、宮城0.03%。抗体検査は6月1日~7日、計7950人を対象に実施。5月31日時点の累積の感染者数を基にした感染率を計算すると、東京 0.038%、大阪0.02%、宮城0.004%となる。今回の結果と単純比較すると、実際の感染者は報告されている人数の2.6~8.5倍に達する。PCR検査の陽性者数の数倍にあたる人々が感染しても検査せず、感染に気付かないまま回復した可能性がある。ソフトバンクグループの調査では抗体保有者は0.43%。東京大学が都内で実施した調査でも0.7%にとどまった。一方、海外ではスウェーデンストックホルムは7.3%、英ロンドンは17.5%、米ニューヨーク市は19.9%だった。

 

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長の尾身茂氏日本経済新聞のインタビューに答えて、「PCR検査の拡充とともに唾液による抗原検査が重要。・・3月末から4月にかけ患者が増えてPCR検査のキャパシティーがたりなかった。・・検査をもう少し拡大しないといけない」とし、PCR検査と組み合わせる検査として期待を示したのが唾液による抗原検査だ。「インフルエンザも唾液で検査できないか、メーカーに研究開発をお願いしたい。」と話した。

 

NY先物、金在庫が急増。ニューヨーク先物市場で現物の金の在庫が急増している。普段は取引量の大きさと比較して在庫は少なく、短期間でこれほど増えるのは過去に例がない。在庫急増のきっかけは、米国の先物と欧州の現物という2つの市場間で起きた価格差の急拡大だ。3月に欧米で国境閉鎖や商業航空の大幅な減便が広がると、現物の受け渡しを前提とする裁定取引が一時的に滞った。米国向けは昨年4月はわずか0.9トンしかなかったところ今年の4月は111トンと115倍に膨らんだ。金の在庫は今後も続きそうで、コロナ禍で米国でも現物志向の投資家が増えている。

 

  <6月17日>

PCR民間検査 法人需要新型コロナウイルスへの感染の疑いがない無症状者向けにPCR検査を受け付ける民間の診療所が増えている。保険適用ではなく2万~4万円程度の費用がかかるが、抗原検査よりも精度は高い。経済再開をにらみ、企業が従業員の感染状況を調べるために受けさせる動きが広がりそうだ。

 

抗原検査唾液で可能に厚労省新型コロナウイルス感染の有無を15~30分で判定できる「抗原検査」の検体に唾液の使用を認める。週内にも保険適用する。検査キットは月76万回分供給できる。

 

米中「リベンジ消費」新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいた個人消費が、米国や中国で急反転している。5月の米小売売上高は前月比17.7%増だった。中国もネット通販大手の6月のセール初日の取扱高が前年同期比7割増だった。自粛からの反動による「リベンジ消費」が起きているが、補助金や値下げに支えられている。

 

厚労省医務技官鈴木康裕氏。優先的に取り組むことは3つある。1つは検査体制を整える。PCR検査を増やすスピードが不十分だった。対策の一丁目一番地。2つ目は医療体制を地域単位で整備する。3つ目は保健所の人材、財務面のてこ入れ。PCR検査は全国にPCRセンターができ、専用のテントやドライブスルーで検査を受けられるようになるなど選択肢が増えた。機器や試薬が足りず、検査能力の限界から件数が増やせないという状況は解消した。ただ、PCR検査は偽陽性が一定の比率で出る。大勢が検査を受ければ、偽陽性のために本来は必要ないのに隔離の対象になる人がかなり出てくる。・・全国民を定期的に検査する案も聞くが、もう少し議論が必要だ。・・・

 

欧州にデフレの足音新型コロナウイルスの影響が大きい欧州でデフレへの警戒が強まっている。5月の消費者物価上昇率はユーロ圏19か国中イタリアやスペインなど12か国でマイナスだった。物価が上がりにくい状況が続けば、政府や企業の債務負担は一段と重くなり、危機から抜け出しにくくなる。コロナ危機で物価が下落した一因は需要減だ。

 

仙台医療センター・ウイルスセンター長西村秀一氏。不確実な状況での意思決定の難しさを感じるが、・・・重要なのは意思決定のプロセスをきちんと記録に残すこと。専門家が何を話し、何を話さなかったか。会議の議事録がないなんてとんでもないことで、我々は政策の妥当性の検証もできずに自粛などを強いられていることになります。後世の人々に対しても無責任なことです。・・・政府の専門家会議以外にも数多くの「専門家」がメディアに登場しています。ウィルスには詳しくない人の意見がうのみにされている場合もあります。ひどいと思うのは、新型コロナウイルスで亡くなった人の遺体を密封して遺族が対面できないケース。他の感染症ではありえない。遺体は息もせきもしません。感染する可能性はほぼゼロです。・・過剰な消毒も問題です。・・自信のない専門家は何かあったときに発言の責任をとりたくないので、ほとんど起こりえない確率でも「可能性がある」と言いがちです。一般の人は「必ずある」と受け取り、過剰反応が生まれる。怖がり過ぎることコロナの何倍もの命が失われるかもしれない。・・メディアは専門家に「可能性」の確率を問わなければならない。・・・ワクチンには副作用もあるし、因果関係が不明でも亡くなる人が出ることだってあります。・・・大量のワクチンが用意できないときは、接種の優先順位を決める必要があります。こういうことを接種事業を実施する前に国民に説明しなければならない。副作用に備えて、きちんと調査する機関を整えておく必要もあります。何事もリスクはあります。メディアもリスクはゼロであるべきだという視点で正義の旗を振るような報道は控えるべきではないでしょうか。

 

 

(コメント)

西村秀一氏によると、専門家の発言がリスクゼロを想定したものもあり、そのとおりに行動すると過剰反応となるとのことだ。コロナウイルスは人類初めての遭遇で、わからないことだらけである。それでも世界中で経験されたことや、いままでの感染症の知見から有用なこともある。メディアは専門家ならわかると思い、あるいは専門家に聞けば答えてくれると安易な質問を繰り返す。専門家は可能性の確率を答えるとのことだが、それは誰も答えられないのではないだろうか。できることは、分かってきたこと、多分そうなること、諸説あるがわからないこと、まったくわからないこととはっきりと区別して言うことであろう。世の中は指示通り動けばいいことだけではない。