歴史が面白い55

令和2年8月2日~8月5日

  <8月2日>

経路不明 全国で5割超新型コロナウイルスの感染経路が広がっている。東京都では「家庭」での感染が「夜の街」を上回り、感染経路不明の割合は全国で5割を超えた。

都によると、新規感染者数が472人で最多を更新した8月1日、感染経路不明は305人に上がった。経路が判明している中では、「家庭」が最多の50人、「夜の繁華街」の27人を上回った。(日本経済新聞8月3日)

 

コロナ判定10分で。キャノンメディカルシステムズは新型コロナウイルスの感染の有無を唾液から短時間で検査できるシステムを9月に発売する。「ランプ法」と呼ばれる手法を使い、前処理した検体から約10分で陽性かどうか判定できる。精度はPCR法と同程度。安価な装置での検査が可能で初期コストも抑制できる。月100台以上の供給体制を整えた。(同)

 

患者数予測 精度に限界新型コロナウイルスとの格闘が続く中、人類が築きあげてきた感染症学の盲点が見えてきた。感染症の全容をつかむのに重要な数理モデルは活用法の未熟さが目立ち、感染抑制のカギを握る免疫研究は継続性への不安が再燃する。コロナ時代には感染症学の新たな進化が求められている。(同)

  <8月3日>

唾液検査進まぬ活用新型コロナウイルスの感染の有無を唾液などから簡易に調べるPCR検査機器の開発が相次ぐ中、検査の件数が伸びずにいる。精度に不安があるとして一部の感染症の専門家や医師が利用に慎重なためだ。(日本経済新聞8月4日)

 

3人に1人「反ワクチン」新型コロナウイルスのワクチンが完成しても3人に1人が接種を望まない。最近発表された世論調査では米国人の根強い「反ワクチン」感情が浮き彫りになった。(同)

 

ロシア、ワクチン月内承認。ロシア政府は8月に承認を終え、10月に大規模な予防接種を始める方針を示した。スピードを優先の開発に欧米からは安全性を疑問視する意見も出ている。米CNNは欧米の規制当局が求める治験の全段階が完了していないなどとして「安全性を確認できない」と伝えた。(同)

 

インフル・コロナ同時検査を。日本感染症学会は3日、冬に新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの双方が流行した場合の望ましい診療方法などをまとめた提言を発表した。発熱やせきなどの症状がある患者では両方の可能性を考慮し、できるだけ両方の検査を実施することを推奨した。(同)

 

PCR「プール式」で拡充。東京都世田谷区は新型コロナウイルス対策で、PCR検査能力を増強する検討を始めた。「プール方式」を導入する方針で、区内高齢者施設や保育所などに勤務するエッセンシャルワーカーへの検査に乗り出す。熱やせきといったコロナが疑われる症状のある人には従来通りの検査を実施する。これに加えて(症状のない)介護や保育、医療、教育などの従事者に対して「社会的検査」を定期的に実施する。その際プール方式が一つの検査対象だ。従来の検査と2本立てでやる。1日あたり300件を2000~3000件を目指す。(同)

 

犬2匹がコロナ陽性。ペット保険「アニコムホールディングス」が飼い主から預かった犬2匹がPCR検査で陽性であったと発表した。新型コロナウイルスに感染した2世帯から7月下旬、それぞれ1匹ずつ預かった。今月3日まで複数回実施したPCR検査で陽性となった。2匹とも健康状態に異常はない。同社は感染者のペットを無償で預かる事業を4月から行っており、これまで犬や猫、ウサギの計42匹を預かった。(同)

 

 

  <8月4日>

国内感染 4万人超す。国内では4日、新型コロナウイルスの感染者が1230人確認され、累計で4万747人となった。足元は6割が20~30代の若者層だ。重症化リスクの高い60代以上の高齢者は第1波が31.1%だったに対して現在は11.6%だ。重症者の割合は5月7日の5.1%から7月29日には1.1%に下がった。背景には、東北医科薬科大学の関雅文教授(感染症学)は「CTで患者の胸部に特徴的な様子がみられると分かり、診断しやすくなった」と指摘。抗ウイルス薬「レムデシビル」やステロイド薬「デキサメタゾン」など「一定の効果が認められた薬が出てきて、医師が自信を持って対応できている。治療に慣れたことも関係している」とみる。(日本経済新聞8月5日)

 

かかりつけ医でも検査を日本医師会新型コロナウイルスの検査を身近な診療所で受けやすくするよう政府に提言する。かかりつけ医が検査できるように行政手続きの省略を求める。現状では検査が可能なのは、全国で約3千の医療機関など全体の3%程度に限られている。(同)

 

米住宅、郊外移転が活況。米住宅市場に回復の兆しが出ている。6月の中古住宅販売件数は3月の水準に戻った。在宅勤務に伴う都心から郊外への引っ越し需要やローン金利低下が後押しした。(同)

 

コロナワクチン 来月日本で治験。米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソンが日本で臨床試験を9月に始める見通しであることが分かった。米国とベルギーではすでに7月から安全性などを確認する初期の治験に入っている。(同)

 

コロナ関連破綻 都内累計100件東京商工リサーチは4日、新型コロナウイルス感染拡大を受けた経営悪化による東京都内の企業の経営破綻(負債額1千万円以上)が累計100件になったと発表した。業種では飲食15件、アパレル関係13件、ホテル・旅館4件など。(同)

 

英、糖質含む食品 広告規制。英政府は4日、新たな肥満防止策を発表した。糖質や脂質などを含む食品の広告を規制し、飲食店にカロリー表示を義務付ける。新型コロナウイルス感染後、肥満体であるほど重症化する傾向があるためだ。糖質、脂質、塩分が高い食品について「1つ買ったらもう1つが無料」といった過度な購買を促す広告を規制する。(同)

 

中国、「第2波」へ大量検査。中国政府が、国内で頻発する新型コロナウイルス流行の「第2波」を抑え込むため、PCR検査の物量作戦を続けている。北京1千万人、大連350万人、ウルムチ230万人。(朝日新聞8月5日)

 

 

  <8月5日>

PCR「時短検査」生かせず。PCR検査のスピードが上がらない。検査の体制は1日3万件超まで拡大したが、患者が結果を受け取るまでに3日程度かかる。判定に時間がかかれば、その間に無症状の陽性者が感染を拡大しかねない。検査時間を縮める装置の活用や、検体輸送の効率化が課題となる。(日本経済新聞8月6日)

 

コロナ死者、世界で70万人新型コロナウイルスによる世界の死者数が70万人を超えた。60万人台から70万人台にかかった日数は17日で、50万人台から60万人台への20日とペースは加速している。(同)

 

アストラゼネカのワクチン提供厚労省は英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大学が開発を進める新型コロナウイルス感染症のワクチンについて、1億回以上の供給を受ける方向で最終調整に入った。近く合意するとみられる。このワクチンは早ければ9月の実用化わ目指している。日本でも月内に治験に入る見通し。(同)

 

ワクチン「3000円台」。米バイオ医療ベンチャーのモデルナは5日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、1本の販売価格を32~37ドル(約3300~3900円)に設定したことを明かした。米ファイザーが米政権と契約した20ドル弱を上回る。米国で最も進んでいる対象の一つで10月にも承認される可能性がある。

 (同)

米にワクチン1億回分。米日用品・医療大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は5日、開発中の新型コロナウイルスのワクチン1億回分を10億ドル超で米国に提供することで合意したと発表した。(同)

 

九州と沖縄の感染増 顕著。政府の観光支援策「GO TO トラベル」が開始されて2週間。開始前の1週間と比べ、4日までの直近の1週間は全国で新規感染者は増加し、全国の合計は2.4倍となった。感染は大都市に限らず、地方にも広がっている。地域別では九州・沖縄で増加が顕著だ。沖縄は「GO TO」開始前は1日平均1人だったが58人と拡大した。1人未満であった熊本で21人、感染者ゼロだった宮崎も16人に増えた。(朝日新聞8月6日)

 

 

 

(コメント)

感染拡大がとまらない。第2波といえるが、政府はいわない。言うと「GO TO トラベル」をなぜやったのかになるからだろう。官僚が考えそうな話だ。ここにきて感染症学的に今後どうなるかという話には限界があり、状況をみないと何とも言えないということが世間でなんとなくわかってきた。

4月15日「重篤患者が約85万人に上り、半数が亡くなる」という最悪のシナリオが公表された。感染症数理モデル研究の国内の第一人者の西浦博教授だ。実際にはその直前から感染者が減少。経済的な影響への反発と相まって、現実とかけ離れた数値を公表したとして批判が強まった。現在でも相当かけ離れている。

1927年にスコットランドの研究者が提案した「SIRモデル」が最も基本的な数理モデルでこれが使われている。そもそも数理モデルには限界がある。現実に即した計算結果を得るには、精緻なデータが不可欠となる。日本には必要な感染症データは最近までなく、またその範囲も限られていた。よって数理モデル現代社会に合わせて高度化できていない。また、SIRモデルは本質的で汎用性は高いが、感染症の特性に合わせた改良は不可欠だ。はしかや水疱瘡などの古くからの感染症では改良が進み良い結果も出ている。

もう一つ海外に比べ日本では数理モデルへの不慣れさが混乱を招いたとの指摘もある。新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身氏は「専門家の説明も不足していた」と認め、東京大学の稲葉教授も「使う側にもリテラシーの向上が必要」と話す。