歴史が面白い68

令和8年20日

  <8月20日>

「免疫の記憶」重症化防ぐ?新型コロナウイルスに感染しても重症化しにくい患者がいる理由として、新型コロナが登場する以前から流行する従来型のコロナウイルスに感染した「免疫の記憶」が働いたとする研究が注目されている。新型コロナに感染経験のない人の体内から、新型コロナをたたく免疫細胞が相次いで見つかった。こうした免疫を持つ人は全体の2割~5割いるとされる。こうした過去に感染した記憶による働きは「交差免疫」と呼ばれ、新型コロナでも国際的に研究報告が相次いでいる。(日本経済新聞8月21日)

 

クラスター対策自治体が徹底。東京都の自治体がクラスターへの対応を強化している。

新宿区では保健所の人員を当初30人からの5倍の150人に拡充。東京都は保健所へ都職員120人を派遣。足立区は飲食店の従業員らに一斉PCR検査を行った。日本橋料理飲食組合は店舗の感染対策を示すピクトグラムを策定。(同)

 

都内感染 家庭内が4割。東京都は20日、17日までの1週間の新型コロナウイルス新規感染者のうち、感染経路が判明した人の40.9%を家庭内感染が占めたと明らかにした。前週より11.8ポイント増えた。(同)

 

唾液抗原検査精度に懸念。無症状の人への唾液による抗原定量検査は7月17日に認められ、成田、羽田、関西などの空港検疫で順次導入されている。PCR検査は結果が出るまで少なくとも数時間かかるのに対し、抗原定量検査は約30分で判明する。

PCR検査で陽性だった無症状者37人のうち唾液の抗原定量検査で陽性は28人。陽性者一致率は76%だった。(朝日新聞8月21日)

 

イベント上限5000人延長へ。政府はイベント開催に関する制限を9月以降も続ける方針を固めた。期間は1カ月間を軸に調整中で、24日にも有識者からなるコロナ対策の分科会に諮り、正式に決める。(同)

 

欧州で感染急増 バカンスが一因。欧州各国で新型コロナウイルスの感染者数が急増し、フランスやスペインでは春のピーク並みとなっている。夏のバカンスによる旅行が一因とみられ、観光重視の政策が裏目に出た形だ。(同)

 

 

 

(コメント)

コロナの感染で、免疫の記憶が働く人が人がいるとの研究報告だが、この免疫細胞のことを「T細胞」という。

 

人の免疫システムは自然免疫と獲得免疫があり、T細胞は獲得免疫だ。病原体が侵入した後になってから誘導される免疫機能であり、抗体もそうだがここではT細胞の話だ。自然免疫は後から強力な獲得免疫が誘導されるまでの初期段階で感染を抑える役割を負う。ウイルスの感染を受けた人の細胞にはウイルスが感染したことを示すシグナルが細胞表面に現れることがある。われわれの免疫系はこのウイルス感染シグナルに反応してウイルスに感染している細胞を見つけ出し、これを攻撃することができる。自然免疫は獲得免疫に比べ免疫力は強くない。獲得免疫は時間がたつほど、また繰り返し感染するほど免疫は増強される。

獲得免疫は加齢によって顕著に低下するが、自然免疫は加齢による影響をそれほど受けないという。T細胞と同じような働きをする自然免疫にNK細胞がある。もともと体内で生じる老廃物や変異を起こした細胞を取り除く細胞と言われており、発がんリスクを抑える細胞として注目されている。ウイルスに感染した細胞をいち早く見つけ出し、これを排除するうえでも重要な役割を果たす細胞と考えられるという。NK細胞の活性を高めようとする研究報告はあるが、そもそも自然免疫というのは生まれながらの生理的機能であるので、それを低下させないような生活スタイルに心がけることが肝要である。(琉球大学元副学長・名誉教授 佐藤良也氏)

 

コロナに対しては、高齢者に重篤者が多く若者には少ないことが分かっている。疾患のある人を除けば、基礎的な免疫力のそもそもの差が大きい。自然免疫のNK細胞を低下させないような生活、十分な睡眠とバランスのとれた食事をとるなど、当たり前なことをしっかりしておくことが、マスクや「3密を避ける」と同様に感染予防に必要なことである。