歴史が面白い76

令和2年8月29日

  <8月29日>

冷凍でも感染力維持。中国で冷凍食品から新型コロナウイルスを検出したという報告が相次ぎ、その感染リスクが改めて注目されている。ウイルスは低温に強く、解凍後も感染力は残るという。ただ感染例はまだない。中国では、ブラジル産の鶏肉やエクアドル産の冷凍エビといった輸入冷凍食品の包装などから、新型コロナウイルスが検出された。ニュージーランドでも、輸入した冷凍貨物でもウイルスが運ばれた可能性を疑う例があったという。

香港大学の研究チームは「4度の冷蔵環境で14日間おいても、ほとんど感染力は変化しなかった」とする論文を発表している。

新型コロナウイルスに似たSARSウイルスや風邪の原因となるコロナウイルスなどの研究では、年単位で冷凍し、解凍後に感染力があることを確かめた。新型コロナウイルスも他のコロナウイルスと同じような特性と専門家はみる。新型コロナウイルスは熱には弱い。セ氏37度では2日間、56度では30分間、70度では5分間感染力を維持するという。

ウイルスがついた貨物や冷凍食品を手にしても、手洗いやアルコール消毒などを徹底すれば感染リスクは低い。(日本経済新聞8月30日)

 

コロナ抑制傾向107か国。世界で新型コロナウイルスの新規感染者の増加に歯止めがかかってきた。世界188カ国で新規感染が抑制傾向にある。人口10万人当たりの新規感染者数は米国やブラジルで減少している。専門家はマスク着用や3密回避などの予防策の普及が要因と指摘する。ただ、インドでは感染拡大が収まらず、欧州も主要国を中心に再拡大が続いている。(同)

 

 

(コメント)

日本の死者が海外に比べ少ないという理由の一つに人工肺装置(ECMO)による救命率が高い水準だ、というのがあるらしい。8月現在の救命率は70%を超え海外に比べ高い。エクモ(ECMO)に関わる現状をレポートする(以下朝日新聞8月26日)

「第一波」に見舞われた4月の東京。都内の入院患者は一時2800人を超え、重症患者も増え4月24日には1日89人がエクモや人工呼吸器といった集中治療を受けていた。エクモは血管から取り出した血液中の二酸化炭素を取り除き、酸素を加えて血管に戻す生命維持装置だ。新型コロナウイルスので肺の機能が落ちた重症患者を助けるために有効だ。ただ、体に2本の太い管を刺すため、出血や感染のリスクがつきまとう。ICUなどの設備だけでなく、技術と経験を持ち合わせたスタッフが必要で、適切に扱える医療機関は限られている。加えて、エクモがあっても稼働できないケースが「第一波」ではあった。平常時は心臓手術中などに短時間で使われることが比較的多い。新型コロナウイルスのように肺の治療で長時間にわたって使用する経験を持つ医師は多くない。都内にエクモは200台あるとされるが、実際に患者に使えたのはもっと少なかった。

全国にあるエクモは少なくとも1400台以上とされるが、徳島、福井など10台以下のところもあり、地域差は大きい。そこで期待されるのが、隣県などに患者を運ぶ広域搬送だ。日本医師会は5月、エクモを使いながら患者を安全に運べる大型の救急搬送車両「エクモカー」の配備を増やすように国に提言した。北海道から沖縄まで地域ごとに1台ずつ、全国計20台を中核的な医療機関に置くことを想定する。「エクモカー」は複数の医師や臨床工学技士が乗り込んでも余裕ができるつくりになっている。

日本集中治療医学会の西田修理事長は「エクモカーが一つの医療圏に1台でもあれば、その地域の医療の負担は大きく減る。集中治療のキャパシティーを守る上で、最も素早く効果的な対策になる」と話す。