歴史が面白い82

令和2年9月4日

  <9月4日>

ワクチン 日本治験入り。英製薬大手アストラゼネカの日本法人は4日、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、日本で臨床試験を始めたと発表した。国内での新型コロナウイルスワクチンの治験入りは大阪大学発製薬企業アンジェス、米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソンに次いで3例目となる。

日本向けに1億2千万回を供給する計画を掲げる。そのうち3千万回分は2021年3月までに供給できる見通しという。(日本経済新聞9月5日)

 

死者増加、沈静傾向かう新型コロナウイルスの死者数の増加に歯止めがかかりつつある。3日は7日移動平均で13.43人と8日ぶりに減少に転じた。重症者数も8月下旬をピークに減少傾向が続く。(同)

 

紫外線でコロナ不活化ウシオ電機広島大学は4日、人体に害がないとされる特殊な紫外線で新型コロナウイルスの感染力を低減できることが分かったと発表した。近距離で30秒ほど紫外線を当てると、ウイルスの感染力を99.7%以上低減できたという。ウシオ電機は9月1日から販売している。(同)

 

発熱患者の相談直接医療機関厚労省は今冬に想定される新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備え、発熱患者の診療体制を強化する。保健所などを介して医療機関につなげる現在の仕組みから、直接かかりつけ医など地域の医療機関へ連絡できるよう変更する。厚労省は4日、自治体に対して、10月末までに発熱患者がかかりつけ医などの医療機関に直接電話相談できるような体制整備を求めた。(同)

 

(コメント)

紫外線でコロナウイルスを殺菌するというのは極めて期待できる技術である。これが商品化できれば、公衆衛生を支える基幹技術になり、病院、学校、交通機関、家庭など様々なところで使えるものになる。

以下 北島純・社会情報大学院大学特任教授によると。

日本では、新型コロナウイルスの殺菌に紫外線が有効であることが初めて確認されたのは今年の5月27日。

宮崎大学医学部が医療機器などを開発する日機装と共同実験を行った結果、同社の空間除菌消臭装置「エアロピュア」に採用されている深紫外線LED(発光ダイオード)を30秒と60秒照射したところ、新型コロナウイルスが99.9%不活化したと発表した。日競装は、2014年にノーベル物理学賞を受賞した名城大学の赤崎勇教授、名古屋大学の天野浩教授らの青色LED研究を踏まえて、高出力・小型化・長寿命の深紫外線LEDの製品化に成功。深紫外線は人体に健康被害を生じさせる得るが、エアロピュアは取り込んだ空気に深紫外線LEDを照射して排出する循環型の機構を持ち、直接人体には深紫外線LEDを照射しない。

 

海外では、ニューヨークの地下鉄車両などの消毒に深紫外線ランプによる消毒の試みが始まっている。

紫外線による殺菌は、照射するだけで簡単だが、2つの限界があるとされてきた。1つは「有害性」だ。殺菌やウイルスのDNAを破壊する力はあるが、それは同時に人間の皮膚や眼球などの組織を傷つける可能性がある。2つ目は「直進性」。紫外線の透過率は素材によって異なるが、固体に対する殺菌効果が認められるのは原則として固体の表面に限られる。立体物なら光源を移動させないといけない。

 

しかし、こうした2つの限界を克服しようとする動きが今、広がっている。紫外線の「有害性」については、今回の新聞記事にあるウシオ電機が今年4月、米コロンビア大学と協力し、波長222ナノメートルの紫外線照射装置を使って、新型コロナウイルスへの効果を確かめる実験を開始。米コロンビア大学放射線研究センター所長デービット・ブレナー教授らは6月24日、こうした実証実験の結果について論文を発表。 エアロゾル中の「人コロナウイルス」に低量照射したところ、99.9%が不活化したという。ブレナー教授らはすでに17年の段階で、マウスを使った実験で222ナノメートルの深紫外線が哺乳類の皮膚に影響を及ぼさないという論文を発表している。222ナノメートルの深紫外線は皮膚を透過できる深度が浅く、皮膚の角質層など人体の細胞質を通過できない。しかし、ウイルスや細菌に照射すれば殺菌することができるというのだ。

ウシオ電機神戸大学大学院医学研究科は今年3月、222ナノメートルの深紫外線を反復照射しても皮膚がんが発症しないことを世界で初めて実証し、ヒトの皮膚や目にも安全なことも報告している。新型コロナウイルスは空中に漂うエアロゾル中で少なくとも3時間は生存するとされている。人体に無害な紫外線で空中浮遊ウイルスを不活化できれば、世界中の新型コロナウイルス感染防止の需要に応えることになろう。

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コロナ後の世界がどうなるかという議論が盛んにされている。ウイルスは今回の新型コロナウイルスだけではなく、次々と私たちの前に現れてくる。ウイルスと共存しなければならない。とすればこのような社会インフラが是非とも必要になってくるのではないか。

以下 エコノミスト9月22日によると

紫外線による殺菌のほか電子機器の操作技術として普及した「タッチパネル」。「触れる」操作にたいして、コロナ禍では「触れたくない」という意識が世界的に顕在化しているという。これによって、ATMや券売機、エレベーターなどの公共用途はもちろんのこと、ドアノブや家電の操作といった家庭内でも非接触の操作ニーズが高まっている。これを実現できる新たな技術として「空中ディスプレー」技術がある。アスカネット社は、液晶ディスプレーなどに表示した映像を空間に結像できる空中結像プレート「ASKA3Dプレート」を開発・製造した。その仕組みは、画像や物体の放つ光線を1枚の特殊なプレートを通過させることで、その反対側の同じ距離の位置に再び光が集まり、原版と同じ像を形成するもの。センサーと組み合わせれば空中に浮かんだ映像によってタッチ操作を行うシステムを実現することが可能だ。

回転ずし「無添くら寿司」で実証実験が開始されたり、米国でエレベータやレジカウンターで使用するデモが行っている。ほかにも空中映像や空中ディスプレーを研究・開発しているベンチャーもある。いままさに商品化の真っ最中である。

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こうした技術は世界的なニーズで一気に広がる。これはコロナ禍でのプラス面である。