歴史が面白い86

令和2年9月8日

  <9月8日>

中国「1人も漏らすな」。大連で7月22日以降に新型コロナウイルスの集団感染が発覚すると、中央政府は約600万人の全市民を検査するように指示した。8月3日までの約10日間で検査は600万人を超えた。5月に武漢市で再び感染が増え、全市民に近い約1000万人にPCR検査が実施された。北京市も6~7月に人口の半数にあたる約1200万人が検査を受けた。なぜ圧倒的な検査能力があるのか。一因に5人の検体をまとめて1つの検査薬に入れる簡易方式を取り入れていることがある。街頭検査は無料で庶民も手軽に受けられる。

中国が得意とする別の手法が都市封鎖だ。7月16日、約5カ月ぶりに感染者が出た新疆ウイグル自治区。感染者はまだ1人にも関わらず、中心都市のウルムチ市政府は、翌日から全市民の外出を禁じた。都市封鎖は8月末まで1カ月半に及んだ。(日本経済新聞9月9日)

 

コロナ倒産500件に新型コロナウイルスによる倒産が累計で500件になったと、帝国データバンクが8日発表した。6月の120件をピークに減少傾向にある。業種は飲食、ホテル・旅館、アパレル小売りだ。政府の支援による融資があったが、今後は融資額にも上限があり、コロナ倒産が再び増えるおそれもある。(朝日新聞9月9日)

 

「みんな在宅勤務」嘆くパブ店主。英政府は8月、月~水曜日に飲食店の会計から1人最大10ポンド(約1400円)を税金で割り引く施策を打った。割引で客は増えたがそれでも通常の2割。周辺のオフィスで働く常連客がこないことが大きい。人口900万人のロンドン中心部に人が戻らない。8月の在宅勤務に関する調査によると、英国で通常の職場に戻った割合は34%、フランス(83%)、ドイツ(70%)と比べて低かった。(同)

 

中国「難局乗り越えた」。中国の習近平国家主席は8日、新型コロナウイルスとの闘いで貢献のあった科学者らへの表彰式で、感染が広がって以来の政権の対応を総括した。「全国の人民を率い、人類と疾病との闘いの歴史における英雄的壮挙を成し遂げた」と成果を強調。(同)

 

感染対策 風評とのはざまで新型コロナウイルス感染拡大で厳しい視線が注がれた国内最大の歓楽街・歌舞伎町を抱える新宿区。吉住健一区長は7日の記者会見で、対応の難しさを吐露した。検査に力を注げば感染者が目立ち、逆に風評被害を招く。「集中検査で、結果的に無症状者を含めて大きな数字が出て強烈なインパクトを残してしまった。それが新宿に対する恐怖心や差別感情を生じさせてしまった」。ここにきて、区内の感染にも改善の兆しが見え始めた。陽性率は、接待を伴う飲食業で8月は26%で、7月の40%から大きく下がった。全体でも8月は16%で7月の26%から10ポイント低い。区長は「基本的な予防を店舗経営者に徹底してもらったことが大きい」とした。記者会見に同席した調査チームの砂川富正医師は「店側は感染対策の努力はしているが、客のマスク着用率が1割に満たない」と指摘する。(同)

 

(コメント)

中国の感染対策の徹底が凄まじい。ここまで検査と隔離をすれば感染は防げるはずだ。ただ、新疆ウイグルで感染者1人で1カ月半の都市封鎖をするというのは行き過ぎだ。民主主義を標榜する国では到底できない。ウイルス対策というより政治的な対応という面が大きい。

新宿区の対応では、区長としてはよく努力されていると思う。歌舞伎町のホストクラブの店長とひざを交えて話し合いを重ねられているという雑誌の記事があった。新宿の歴史の中で、よくも悪くもつくられてきた街である歌舞伎町を突き放すのではなく、中に飛び込んで一緒に考えていく。そうしたなかで、夜の街の店ごとに検査していくこと、当然出てくる陽性者に対する休業手当など、区としてできることを積極的にやっているようだ。新宿区民として応援したい。