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令和2年10月7日

  <10月7日>

強制力のある対策 法の壁。東京都の小池知事は新型コロナウイルス対策で法改正を求めても、国の動きが鈍いことにいらだちを隠さない。小池氏に限らず各県の知事が求めているのは、新型コロナウイルス対策特別措置法と感染症法の改正だ。論点は多いが▽休業要請に応じない事業者への罰則適用(特措法)▽ホテルでの宿泊療養の法的位置づけ(感染症法)が主なポイントとなっている。(日本経済新聞10月8日)

 

出張帰国時の待機免除 手続きは?帰国時は日本外務省のホームページにある「本邦活動計画書」に国内宿泊先やオフィスの住所などを記入し、国内空港の検疫所に計画書を提出する。空港でのPCR検査で陰性となるのが条件となる。公共交通機関の利用は認めない。日本は罰則を設けていない。それでもルールを破り、新型コロナの感染拡大を起こせば勤務先や本人の信用は傷つく。政府は「受け入れ企業や団体の名前を公表する可能性がある」と説明する。(同)

 

(コメント)

都議会の最大会派・都民ファーストの会が、新型コロナウイルス対策として罰則付き条例案を検討している。感染者の行動制限や店舗への休業要請などに実効性を持たせることが狙いだ。具体的には、①感染を疑うに足る正当な理由がある人が検査を拒否したら罰則➁陽性者が就業・外出制限に従わず、他人に感染させたら罰則➂事業者が知事の休業・時短要請に従わず、一定人数以上の感染を生じさせたら罰則④いずれも5万円以下の過料、である。

国の法改正を待たず、条例で現状を打開しようとすることだ。東京新聞の取材による有識者のコメントは以下のとおり。

千葉大大学院の大林啓吾教授(憲法学)は、現状の医療提供体制などを踏まえ、「過料を科すほど私権を厳しく制限する必要があるのか。罰則の対象となるケースもあいまいで、検討が十分とは言いがたい」と疑問視。

自治体の条例に詳しい日本福祉大学田中優教授(地方自治論)も「緊急事態宣言が解除された現状では、条例案は踏み込み過ぎ。罰則によって差別が助長される恐れもあり、人権尊重の観点もさらに考慮しなければならない」

一方で、関東学院大学の出石稔教授(地方自治論)は「新型コロナウイルスは命にかかわるため、ある程度の私権の制限はやむえない。十分議論を尽くすことが前提だが、罰則があった方が対策としては有意義」と評価。そのうえで、「本来は国が法改正をして対処するべき問題で、国の怠慢によって自治体が動かざるをえない事態になっている」と指摘した。

 

出石教授の言う通り、本来は国の法改正で要請ではない形にしないと条例で罰則はありえないだろう。そもそもこの問題で法改正をしなければならないのかということになる。欧米のように法律ですべての物事を決めていく建付けに日本はなっているか、ということだろう。いままで政府はなんとなくぼんやりとした自粛に任せてきて特に問題がなければこのままいきたいと思っているだろう。政府の責任が軽減されるからだ。しかし、前線の当事者にとっては大変だ。いずれにせよ政府の対応に一石を投げることなになる。