歴史が面白い118

令和2年10月10日

  <10月10日>

紫外線でコロナ抑制。国立研究開発法人の理化学研究所は紫外線の照射で新型コロナウイルスを不活性化する技術の実用化に向け、電機や自動車などの大手企業と共同事業を進める。2021年夏に予定される東京五輪パラリンピックの会場や交通機関などで利用をめざす。飲食店やイベント会場でウイルスの拡散を抑え、経済活動の再開に役立てる。

新技術は紫外線を特定の波長や強度で照射することでウイルスを不活性化する。理研が日大・感染症ゲノム研究室と連携し、実際のコロナウイルスを使って検証。特定の波長と強度の紫外線を照射するとコロナウイルスを99.9%不活性化する効果があったという。理研は特許を出願した。利用するのは人体への影響がほとんどないレベルの紫外線だが、人が近づくと自動的に照射を止める技術を組み合わせシステムを開発した。飲食店やイベント会場の設備に搭載すれば、新型コロナウイルスの感染抑制で有効な対策の1つにできる。例えば、五輪会場の観覧席や鉄道車内などで人が座る場所と場所の間に天井から照射し、「光のカーテン」としてウイルス感染を食い止めるといった手法を想定する。年内の商品化をめざす。パナソニックトヨタ自動車などが参加する一般社団法人の産業競争力懇談会などと協議を始めた。(日本経済新聞10月11日)

 

コロナワクチン 接種率も焦点新型コロナウイルス感染症のワクチン開発が進む中、流行を抑えるためにどれだけの人が接種するかが焦点になってきた。効果や安全性に懸念を抱く人が一定数いるとする国内外の調査結果が明らかになり、想定ほどには広まらない可能性が出ている。

電通が8月時点で、20~60代の計1000人に「新型コロナウイルスのワクチンが接種可能になった場合、効果や安全性をどう考えるか」と聞いたところ「あまり信用できない」「全く信用できない」との回答が約3割に上った。(同)

 

旅行・外食 上向きの兆し新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んでいた消費が上向き始めた。1日からは政府の観光需要喚起策「GO TO トラベル」に東京発着分が加わり、北海道など主要観光地の人出が平時の8割超の水準まで増えた。飲食店向けの「イースト」も1日の開始以降、予約増に一役買っている。(同)

 

(コメント)

また紫外線によるコロナウイルス不活性化の技術が開発されたという。前にウシオ電機の紫外線照射装置の報道があった。違いは人体に有害な波長を除去しているかどうからしい。ウシオ電機が開発した「Care222」は独自のフィルターを通すことで、222nmをピークとする200~230nm領域に絞って照射することができ、人体への有害性を抑えることができるとのことだ。ウシオ電機の方は、「Care222」を照明に組み込むことで、「照明+ウイルス除去・殺菌」という製品を2021年1月発売をめざしている。照明機器、空調設備、昇降機など人体に照射する可能性が高いところのニーズに応えることが当面のターゲットとのことである。

理研の今回の試みは、すでに紫外線ロボット「UVバスター」に紫外線ランプを搭載して、9月4日に板橋区日本大学医学部、理化学研究所、株式会社ファームロイドにより実証実験が進められている。こちらは、自律走行の紫外線照射ロボットが無人空間における壁面や床面、机やいすなどの効率的な紫外線殺菌を行うことで従事者が安心して働けるクリーンな空間をつくるという目的で行われている。人が接触したものを人手を介さず殺菌するという場面で効果を発揮するものである。ちなみにこちらの紫外線の波長は253.7nmで人体にはほとんど影響がないとするが、ウシオ電機の222nmよりはやや有害というところか。

ウイルスが潜むところはいたるところにある。それぞれが得意とするところを生かして、できるところからできるだけ早く対応することがいい。