歴史が面白い120

令和2年10月12日

  <10月12日>

武田、問われる買収成果武田薬品工業などが開発中の新型コロナウイルス感染症治療薬が最終段階の臨床試験(治験)に入った。回復した患者の血液成分を使う血液製剤で、武田は2019年に6兆円超で買収したアイルランド製薬大手シャイアーの技術を活用した。新型コロナ治療薬という注目分野で大型買収の成果が問われている。(日本経済新聞10月13日)

 

コロナ重症化を判別東京医科大学の落谷孝広教授らは新型コロナウイルス感染症で重症になりやすい人の判別に使えるたんぱく質を見つけた。血液中にこのたんぱく質がある人は、発症しても軽症のままだという。重症の危険のある人だけを洗い出し、治療に専念できるようになる。「COPB2」というたんぱく質で免疫に関わっているという。(同)

 

コロナ集団免疫 議論再燃。ブラジル北部の都市マナウスでは一時、新型コロナウイルスに対する希望の光が見えた。約3400人の死者とそれをはるかに超える感染者が出た5月の壊滅的な第一波の後、感染拡大の勢いが急速に弱まり、集団免疫を獲得したのではないかとの見方が研究者の間で出始めたのだ。

しかし今、感染の再拡大でその見方は疑わしくなり、当局は新たな難局に直面している。(同)

 

コロナ下経済 回復まだら。4月の緊急事態宣言の発令から半年がたち、経済活動も正常化に向かいつつある。新型コロナウイルスとの共存が続くものの、人出や消費なども徐々に戻ってきた。回復スピードは自動車が順調な一方で、百貨店が出遅れるなど業種や業態で濃淡も出ている。行動や接触が制限される中で、経済を平時に戻すには、業態転換など企業のニューノーマル(新常態)への適応力が問われる。(同)

 

「ラベリング」差別を引き起こさないか。科学ジャーナリズム論が専門の田中幹人・早稲田大学准教授に聞いた。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府や自治体は接待を伴う飲食店を「夜の街」と呼び、注意を呼び掛けてきた。「夜の街」というのは、政府や専門家、マスメディア、市民が協業してつくりだしてしまったスティグマ(烙印)ととらえている。「夜の街」は「昼の街」にも潜むリスクを凝縮した場であり、そこには有効な防止策を社会が学ぶチャンスもあったはず。にもかかわらず、「夜の街の関係者は特殊だから感染が拡大する」といったように、ほかとは分断するような意味合いで使われていた。結果として、有効な防止策を学ぶチャンスを逃しただけでなく、差別を正当化する方向で浸透してしまった。

もちろん、新型コロナウイルスをめぐって起きた差別は「夜の街」に対するものだけではない。感染者や医療従事者、濃厚接触者らに対する差別も問題になっている。その理由として、日本のコロナ対策は人々の社会規範に頼り、自主的な行動変容によって感染を抑え込む方針を取らざるをえなかったことがあげられる。(朝日新聞10月13日)

 

科学誌「トランプ氏不支持」。世界的に著名な米国の科学誌が、共和党トランプ大統領新型コロナウイルス対策を理由に、11月の大統領選での不支持を相次いで表明した。米国内で感染拡大が続く中、政治とは一定の距離を保ってきた科学誌が、現職大統領を強く非難するのは異例だ。米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」と一般向け科学誌「サイエンティフィック・アメリカン」だ。(同)

 

英、コロナ規制3段階に。英国のジョンソン首相は12日夕の記者会見で、新型コロナウイルスの感染急増に対応する3段階の規制ルールを新たに導入すると発表した。感染状況に応じて規制の対象や強弱を地域ごとに定める狙いだ。英政府は感染が広がる地域での封じ込めにより、経済に打撃を与える国全土の封鎖の再実施は回避したい考えだ。新たなルールは首都ロンドンがあり、人口の85%を占めるイングランドで導入する。英中部リバプールは14日から最も高い警戒度に指定される予定だ。警戒度は4週間ごとに見直す。(日本経済新聞10月13日)

 

J&Jが最終治験中断。米日用品・製薬大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)を一時中断したことがわかった。治験参加者が原因不明の病気にかかったことが原因という。同社は9月23日に最終段階の治験を開始したと発表したばかり。J&Jは最大6万人を対象に治験実施を計画していた。(同)

 

 

(コメント)

J&Jのワクチンの治験が中断した。9月23日に米国で4例目として最終段階の治験に入ったばかりであった。最終段階の中断は珍しいことではないらしい。すでに先行していたアストラゼネカも中断し、6日後に再開している。

中国では治験段階で35万人にワクチンを投与している。ロシアでは最終治験も始まらないうちにワクチンの「世界初承認」を発表している。

9月8日には、欧米の製薬会社9社が、安全性を最優先して取り組むとの共同宣言を発表している。トランプ大統領が11月の大統領選前のワクチン完成を求める中、検証不十分なまま導入するとの懸念を拭い去り、政治的な思惑をけん制する狙いだ。声明を出したのは、英アストラゼネカや米ファイザージョンソン・エンド・ジョンソン、メルク、英グラクソ・スミスクライン、仏サノフィなどである。

ワクチン先行開発は、トランプ大統領だけではなく、中国の習近平主席、ロシアのプーチン大統領やコロナ対策で後手に回った英国政府も政治的におおいに利用したいところである。