歴史が面白い137

令和2年10月29日

  <10月29日>

厚労省、米モデルナと契約厚生労働省は29日、米バイオ医療モデルナの新型コロナウイルスワクチンについて、開発に成功すれば5000万回分の供給を受ける契約を締結したと発表した。4000万回分は2021年前半に、残りは7~9月に受け取る。

日本経済新聞10月30日)

 

通勤電車の換気 混雑時でも効果鉄道総合技術研究所鉄道総研)は標準的な通勤電車が窓を開けて走行した場合、混雑の度合いにかかわらず、車両内の空気が5分前後に1回入れ替わるとするシミュレーション結果を公表した。(同)

 

第2波 死者数に地域差新型コロナウイルスの「第2波」は、感染者数だけ見るれば春の「第1波」を大幅に上回る。だが、死者数には地域差がある。東京では大幅に減り、大阪や福岡、愛知は増えた。高齢者への感染の広がりが差につながった。

29日の分科会で示された報告書では、第2波は東京都の「新宿由来」だと明記。5月下旬から接待を伴う飲食店を中心とした歓楽街で感染者が増え、大阪、福岡、愛知に時間差で拡大した。3府県は若年層の感染者が増えた後、重症化しやすい80代以上の感染者も3.5~5.6倍に増えた。一方、第2波の感染者が2万人で最多の東京は80代以上の感染者数はどちらもほぼ同じ。死者は7割減った。神奈川、埼玉、千葉の各県も第2波で死者は減った。この4都県は、5月の緊急事態宣言解除後も感染者が減りきらず、7月上旬まで感染者の大半を占めた。この間、他の地域より感染リスクを避ける傾向が続いたとの見方もある。(朝日新聞10月30日)

 

フランス、再び全土に外出禁止令新型コロナウイルスの「第2波」が猛威を振るっている欧州で、各国政府が再度、厳しい行動規制にかじを切り始めた。フランスは春の流行時を超える危機を迎え、「禁じ手」だった外出禁止令に踏み切った。クリスマス商戦を救いたいという思惑もにじむ。

「11月半ばにはフランスの集中治療室は限界を迎える」フランスのマクロン大統領は28日の国民向けテレビ演説で、こう危機感をあらわにした。医師が治療すべき患者を選別することになるとも指摘。30日から全土で1か月、外出を禁じると明らかにした。市民の外出は食料品の買い出しなどに限られ、違反者には罰金が科せられる見通しだ。飲食店など「必要不可欠でない」店舗はすべて閉鎖される。一方、教育格差を広げる恐れがあるとして、学校は大学を除いて閉鎖しない。

新規感染者が約1万7千人と過去最多となったドイツは28日、来週から約1か月、学校や店舗は閉鎖しない一方で、娯楽施設や持ち帰りを除く飲食店の閉鎖など決めた。メルケル首相は会見で「現状の感染率が続けば医療システムは数週間で能力の限界に達する」と警告した。

イタリアは26日から約1か月間、劇場などを閉め、飲食店の店内営業を午後6時までとする規制を開始。

だが、各国の飲食店や文化関係者らからは、「新型コロナでなく、不況によって殺される」などと不満が噴出。28日にはイタリアやドイツで飲食店主らが抗議デモをした。ユーロ圏19か国の4~6月期の実質域内総生産は年率換算で前年比40.3%減と、米国や日本より深い傷を負った。(同)

 

歓楽街の感染拡大防止へ分科会提言。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の作業部会は29日、日ごろから行政と事業者や地域団体が信頼関係を築き、感染が拡大しそうな局面で早期に重点的な検査を実施することを要点とする対策をまとめた。

対策には、現場と対話する時間を惜しまないことや、信頼関係の構築、偏見・差別への十分な配慮などが必要と指摘。

作業部会は10月、「6~8月に重点的なPCR検査を十分行い、感染者を減らせた」と新宿の歌舞伎町を評価した。区や保健所と事業者は6月に連絡会を作り、感染者や濃厚接触者らを積極的に検査し、経路なども調べてきた。その中で、ホスト同士の共同生活や営業時間後の飲食など、店外の感染要因が見えて対策につながったという。(同)

 

クラスター1761か所。全国各地で発生したクラスターとみられる事例が、今月26日までに計1761か所にのぼることが、厚生労働省のまとめでわかった。クラスターの場所で最も多かったのは「飲食店」の441か所。「第1波」ではライブハウスなどで、「第2波」では都市部の「夜の街」やカラオケ店などで感染が広がった。

次いで、「企業や官公庁などの事業所」(379か所)、「福祉施設」(319か所)、「医療機関」(307か所)などが目立った。

1日当たりの感染者が最も多かったのは8月7日の1605人であった。(読売新聞10月30日)

 

米、各州で活動制限。米国で、州などの各自治体が市民の経済活動を制限する独自の措置を相次いで導入している。

イリノイ州シカゴは30日からバーやレストランでの屋内飲食を禁止し、集会人数も25人までに制限する。コロラド州デンバーは屋内の集会を25人以下または収容人数の50%にとどめ、レストランは店内の利用客を収容人数の25%に制限する。ほかにアイダホ州テキサス州などで制限がなされる。(日本経済新聞10月30日)

 

渡航中止勧告を解除。茂木外相は30日の閣議後の記者会見で、中国、韓国、ベトナム、オーストラリアなど9か国・地域の渡航禁止勧告を解除したと発表した。(同)

 

コロナ再拡大 バカンス一因?欧州で再拡大している新型コロナウイルスについて、今年の夏のバカンスの人の移動が一因となった可能性があることがわかった。スペインで6月に見つかった変異型が、その後、英国、フランス、ノルウェーなどの欧州各地の感染者から見つかった。スペインの科学者らが、医療分野の査読前論文が集まる「メドアーカイブ」に載せた研究で明らかにした。

スペインにバカンスに来た欧州の旅行者が、自国にウイルスを持ち帰った疑いがある>EUは6月に域内移動の解禁を加盟国に提案したが、結果的に欧州での感染「第2波」が起きる一因になった可能性がある。

一方、スペイン誌パイスはスペインと同時期にオランダでも同じ変異型が見つかっていたと指摘している。拡大の経路はさらに複雑だったとの仮説も成り立つ。

変異型の感染力などは分かっていない。ウイルスの変異は珍しいことではなく、性質がかわっているかは慎重に判断する必要がある。(同)

 

EU、コロナで連携深化。EUは29日、オンラインで首脳会議を開いた。新型コロナウイルスを封じ込めるため、加盟国間の政策協調を深めることで合意した。アプリでの感染者追跡を国境を越えて可能にしたり、抗原検査をEU全域で進めたりすることで一致した。ワクチンが利用可能になった場合は、加盟国に平等に配布する原則を確認した。(同)

 

 

(コメント)

欧州の第2波の感染急増について今一つ納得がいかなかったが、スペインで見つかった変異型がバカンスに来た人から、英国、フランス、ノルウェーに広がったとの説が出てきた。コロナウイルスの変異はよく起こりその中で感染力が増すものが現れるのは不思議でもない。まだ、変異型の性質はわかっていないようだが、この説は感染急増の説明としてはよくできているし、納得感もある。

 

EUがコロナで政策協調していくとのこと。EUについてはコロナを契機につながりが強化されてきている。経済支援でも財政的に苦しい国に対しても支援を行っていくことを従来この手の支援に反対していたドイツが決断した。今回はコロナの感染対策である。人の移動を許している以上、感染の封じ込めも同じにしなければ解決しない。コロナは人も国の境界もないのだ。

 

歌舞伎町のコロナ感染拡大阻止の取り組みが政府の分科会で評価された。そして歓楽街での感染拡大防止の対策でも歌舞伎町はモデルにされたようだ。吉住区長や高橋保健所長、そして歌舞伎町でホストクラブやバーなど経営する手塚マキ氏らの取り組みだ。作業部会の対策で挙げられている「現場と対話する時間を惜しまないことや信頼関係の構築、偏見・差別への十分な配慮」を実践している。詳細はニューズウィーク(8月4日号)や「コロナ戦記」山岡淳一郎氏(世界11月号)に載せられている。