歴史が面白い162

令和2年11月24日

  <11月24日>

来月15日まで除外決定。政府は24日、観光需要喚起策「GO TO トラベル」事業を巡り、大阪、札幌両市の一時除外を決めた。期間は同日から12月15日までの3週間で、両市が目的地の旅行は割引から外す。予約済み旅行は12月1日現地着までは割引対象とし、2日以降は対象外とする。(日本経済新聞11月25日)

 

ビジネス往来月内再開。茂木外相は24日、都内の飯倉公館で中国の王毅国務委員兼外相と会談した。新型コロナウイルスの感染拡大で停止している日中のビジネス目的での往来を11月中に再開すると合意した。短期出張と長期の駐在員が対象で、PCR検査の陰性証明書の提出などが必要になる。(同)

 

病床使用率 急上昇厚生労働省は24日、国内の新型コロナウイルスの重症者数が345人となったと発表した。2日連続で過去最多を更新した。

連日、100人以上の新規感染者が確認されている札幌市は、17日時点で用意したコロナ患者向けの病床(360床)の使用率が66%に高まった。病床逼迫を受け、市は病床を440床に拡大した。だが23日時点の入院患者は227人と引き続く多く、病床使用率は52%と高水準のままだ。

東京都は現状でコロナ患者を受け入れ可能な病床を2640床確保しているが、使用率は24日時点で6割近い。重症者数は51人と、緊急事態宣言解除後で最多を更新した。重症者用病床(150床)の3割が埋まっている状態だ。(同)

 

感染「再生産数2超え」厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」は24日に会合を開き、1人の感染者が何人に感染させたかを示す「実効再生産数」が直近で大阪、京都、兵庫で2を超えていると明らかにした。北海道、東京、愛知でもおおむね1を超える水準が続いているという。(同)

 

都、営業短縮要請を準備新型コロナウイルス対策で東京都と国が水面下で応酬を続けている。国は飲食店などの営業時間短縮要請を求めたが、影響の大きさから都は当初慎重だった。感染者急増を受けて都は重症者数をもとにした基準を作り、時短要請する方向に転じた。事業者に払う協力金の財源確保を巡っても綱引きを繰り広げた。(同)

 

理由なく検査拒否に限定。東京都議会の最大会派、都民ファーストの会は24日、新型コロナウイルス対策で個人への罰則を盛り込んだ都条例改正案の骨子を示した。30日に開会する定例会へ改正案の提出を目指す。

都民フは「5万円以下の過料」の罰則を科す対象を、正当な理由なくウイルス検査を拒否した場合に限った。当初案にあった陽性者が外出制限に従わず他人に感染させた場合などへの罰則規定は削除した。(同)

 

アフリカでコロナ薬治験。欧州やアフリカの26の研究機関が参加する国際組織「ANTICOVコンソーシアム」は24日、アフリカで新型コロナウイルス感染症治療薬の大規模な臨床試験を始めたと発表した。軽症や中等症の患者を対象に、エイズマラリアなどの他の感染症に使う治療薬を投与し、効果や安全性を調べる。(同)

 

介護職員ら陽性率上昇新型コロナウイルス対策として、世田谷区が無症状の介護職員らを対象に進めているPCR検査で、陽性率が高まっている。区は、検査数をさらに増やすため、複数の検体をまとめて検査する「プール方式」の導入を国に要請する方針だ。

この検査は、クラスター化を未然に防ぐために区が10月から独自に始め、「社会的検査」と呼んでいるもの。症状の有無にかかわらず、区内の介護施設や障害者施設、保育園や幼稚園、小中学校などで働く人が対象だ。区によると、10月2日から今月1日までの検査数は576人でうち陽性者は2人、陽性率は0.3%だった。だが、2日から22日までの960人のうち陽性者は18人、陽性率は1.9%まで跳ね上がった。

区は当初、検査時間を短縮するため、複数の検体を試験管内にまとめて検査するプール式を採用する予定だったが、国は「精度が不明」として、国費で賄う行政検査として認めていない。現在1日に200件が上限だが、プール式だと上限は1千件程度まで引き上げられるという。区は来年1月までに2万件以上の社会的検査を予定しており、プール方式の有用性を国に訴えていく方針だ。(朝日新聞11月25日)

 

あえて感染 ワクチン開発新型コロナウイルスのワクチン開発を加速させるため、健康な若者を意図的にウイルスにさらしてワクチンの効果を調べる特殊な治験が、英国で年明けにも始まる。コロナ禍では初で、後発組のワクチン候補から有望なものを絞り込むのに役立つと期待される。ワクチンが早く行きわたれば救える命も増えるため、英国内の受け止め方はおおむね好意的だが、参加者が重症化するリスクもはらむ。

治験は「ヒトチャレンジ」と呼ばれる。英国政府の発表によると、国民保健サービス(NHS)や治験専門企業などが連携して実施する。まず、18から30歳の健康な若者をウイルスにさらし、感染に必要なウイルスの低量を調べる。その後、別のグループの若者に初期段階で安全性が確認されているワクチン候補を投与し、ウイルスにさらしたうえで、感染を防げるかなどを調べる。

ヒトチャレンジは今年7月、ノーベル賞を受賞した科学者を15人を含む100人以上の英米主要大学の教授らが、実施に向けた早期の環境整備を求める公開書簡を米国立保健研究所(NIH)の所長あてに出したことで注目された。

「倫理的正当化が必要となるが、安全かつ効果的にワクチン開発をスピードアップできるなら、実施への強力な根拠になる」と訴えている。

英国政府は10月、「ワクチンがより早く窃取出来るようになれば、数千人の命が救えるかもしれない」として、ヒトチャレンジを実施する官民の枠組みに3360万ポンド(約46億円)を出資すると発表した。

すでに最終段階にある英製薬大手アストラゼネカのワクチンは対象とならない可能性が高い。健康な人でも最悪の場合は死に至ることもある。倫理的な問題は避けられない。

WHOは5月、ヒトチャレンジが倫理的に受け入れられる場合の8つの基準を公表した。リスク以上の利益が見込める▽市民、専門家、政策決定者らが関与し協議している▽参加者のリスクを最小限にするーなどだ。

英オックスフォード大学のジュリアン・サブレスク教授(実践倫理)は声明で「ヒトチャレンジは、リスクが完全に開示され合理的であれば道徳的に正しい。20~30歳の人がコロナで死亡する確率は自動車事故で死亡する年間リスクとほぼ同じだ。チャレンジ治験をしないことこそ非倫理的だ」と指摘した。一方、WHOの基準作りに参加したカナダのウェスタン大のチャールズ・ウェイアー教授(生命倫理)は反対を表明。参加者に重症者や死者が出れば、ワクチンそのものへの信頼を損なうなどと指摘した。

治験にはリスクが伴うが参加希望者は多いようだ。10月末時点で約170か国4万人がボランティアに登録した。日本からも約100人が登録した。(朝日新聞11月25日)

 

国 本気度薄く。加藤官房長官は24日の記者会見で「GO TO トラベル」事業の運用を一部見直す一方で、経済活動は継続させる考えを改めて強調した。

政府は事業と感染拡大との因果関係を否定し続けてきた。赤羽国土交通大臣も24日の会見で「事業が感染拡大の主要な要因だとのエビデンス(証拠)は現在のところ存在しない」とする新型コロナ対策分科会の提言に触れ、「延べ4000万人超が利用し、23日までに陽性と診断されたのは187人だ」と訴えた。

政府がトラベルの「一時停止」に踏み込まざるを得ないのは、札幌市などでの感染拡大で、分科会がまとめた4段階の指標で2番目に悪い「ステージ3(感染急増)」が現実味を帯びてきたためだ。そもそも政府は経済重視の方針を崩さないため、感染防止で徹底的に人の動きを止めるという本気度は薄い。一時停止表明は「政府が危機感を表しているというアナウンス効果」に狙いがある。

鑑定幹部は「感染で困っている人よりも経済が止まって困る人の報が多いはずだ」と強調する。(毎日新聞11月25日)

 

 

(コメント)

ワクチン開発で、ついに一歩踏み込んだ治験が始まろうしている。あえて感染させて効き目をさぐるのだ。動物実験ならありだと思うが人間が相手だとどうかと考えさせられる。

コロナではリスクの低いとされる若者を対象にするが、最悪のケースは死が想定される。西洋の倫理では大多数の救える命とひとりの命を比べて判断している。日本ではかつて一人の命は地球より重い(日航機ハイジャック)と言われた。人類の生存がかかっているというほどのレベルでは今はない。そこまで追い詰められてはいない段階で若者の死をかける話かという気がする。

それよりも、ワクチン競争で一歩で遅れているところを救済するという目論見が垣間見える。なぜなら先頭をきっているアストラゼネカは対象としないらしい。もちろん、ワクチンは候補は多いほうがいいのだが、そのため何をしてもいいとは限らない。だから、今までワクチン開発は5年とか10年かかってきたのだから。

追い詰められているのは製薬会社で、そのため多少フライング(?)もあるがといって目をつぶっている気がする。