歴史が面白い176

令和2年12月8日

  <12月8日>

病床逼迫 柔軟な運用欠く新型コロナウイルスの「第3波」の感染拡大で、大都市圏を中心に医療機関の逼迫度合いが高まっている。日本は人口当たりの病床数が先進国の中で多く、感染者数はより少ないのに、医療現場に余裕がなくなっている。効率的でない医療資源の配分や入院に対するハードルの低さといった構造的な問題が背景にありそうだ。

OECDなどによると、人口千人当たりの病床数は日本は13床。主要7か国(G7)ではドイツが8床、英米など5か国は2~6床にとどまり、日本の病床数は突出して多い。発症間もない患者に対応する急性期病床も8床と、6床のドイツや2~3床にとどまる他の5か国より多い。ただ、新型コロナウイルス向け病床の整備は足踏み状態だ。「第2波」の8月中旬に約2万7千床だった確保予定病床数は、12月に入ってもほとんど増えていない。各病院とも一般診療を継続させながら、新型コロナウイルス患者の対応を両立させてきており、医療現場の疲弊がピークに達しつつあるこちが一因だ。

もともと日本は中小規模の病院が多く、医療資源が分散していた。病院数は日本は約8千でG7で最も多く、米国約6千を大きく上回る。各国の1病床当たり医師数は、米国の0.91人に対し、日本は0.19と5分の1.フランス、ドイツと比べても3分の1の水準。看護師も同じ傾向だ。

感染者数が日本より圧倒的に多い欧米では、人的に余裕のある大病院が状況に応じて病床数を大幅に増やし、役割分担するなどしている。ドイツは第一波が襲った3月下旬、ICU病床を1万床確保するため、1床あたり5万ユーロ(約630万円)の助成金拠出を決定した。米国では各州内の病院が縦割りを排し、病床を融通しあって患者の増加に対応する。

欧米に比べても入院者の割合が高いことも、医療機関の負担につながっている。12月1日時点で陽性者約2万人の4割にあたる約8千人が入院する。1日当たりの新規感染者が日本の6倍超に達する英国でも、入院者数は1.6倍の1万4千人程度にとどまるのと対照的だ。日本の入院患者の66%が呼吸管理の治療が必要ない軽症だ。国は運用を見直し、入院措置の対象を重症者や重症化リスクの高い65歳以上の高齢者、持病のある人などに絞ってきた。ただ予防的に入院措置をとる自治体もあり、「本当に必要な入院」なのか見極められていない恐れがある。日本では国民皆保険を背景に、入院への経済的ハードルがそれほど高くないことも、入院率の高さにつながっている可能性がある。(日本経済新聞12月9日)

 

街角景気7か月ぶり悪化新型コロナウイルスの感染「第3波」で、街角の景況感が急激に悪化している。内閣府が8日発表した11月の景気ウォッチャー調査によると、街角景気の現状判断指数(DI、季節調整済み)は45.6と前月から8.9ポイント低下した。低下は4月以来か月ぶり。(同)

 

倒産11月22%減東京商工リサーチが8日発表した11月の企業倒産件数は、前年同月比22%減の569件だった。減少は5か月連続で、11月としてはバブル期の1989年以来の低水準だった。足元では新型コロナウイルスの感染が再拡大しているが、政府や金融機関の資金繰り支援の浸透が経営を下支えしているとみられる。(同)

 

英、コロナワクチン開始。英国で8日、新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。日米欧の先進国で初めて。新型コロナによる累計死者数が6万人超と欧州最多の英国で、犠牲者は介護施設に入居する高齢者らに集中する。政府は独立委員会の提言に基づき、①介護施設の入居者やスタッフ②80歳以上の高齢者や医療従事者③75歳以上④70歳以上、深刻な基礎疾患を持つ人⑤65歳以上⑥16~64歳で基礎疾患がある人⑦60歳以上⑧55歳以上⑨50歳以上ー9段階の優先順位に沿って接種する。接種は無料だ。(同)

 

看護師退職止まらない新型コロナウイルスの流行が長期化する中、感染患者のケアに疲弊した看護師ら病院職員の退職が相次いでいる。感染の危険と隣り合わせの過酷な労働環境下で、十分な待遇もなく、周囲から差別されたことなどが背景にある。30人以上が退職した病院もあり、職員のサポートが急務となっている。(読売新聞12月9日)

 

(コメント)

最近、医療現場から悲痛な叫びが上がっている。医療崩壊に結び付く、病床の使用率が特に問題視されている。そこで日経の記事に欧米との比較がだされた。そこで明らかにされたのは病床数が日本は多いということだ。これをとらえて余裕はあると主張する人もいるが、単純に表面の数字だけではすまない。各国それぞれ医療体制には歴史と国民性も反映されている。日本は国民皆保険のおかげで、身近なところに町医者があり、異常があればすぐに医者にかかることができた。おかげで平均寿命も世界最高水準になった。

よって日本の良いところは残し、コロナにどう対応するかである。入院者で軽症が多いことについては、大阪府で見直しが先行され、厚生労働省も追認し全国に通知したので追々それは効いてくる。問題は看護師らの増員では、まず足元の退職の流れを変えないといけない。待遇面の改善だ。すこし問題は違うがドイツでは第一波が襲った3月下旬、ICU病床を1万床確保するため、1床当たり630万円だして確保したという。緊急時には思い切った金額を出すのだ。日本にできないことでない。

差別の問題は政治家が音頭を取り全国に医療従事者に対する応援メッセージを今こそ出すべきだ。こういう時に広告業界を使ってメッセージを出すべきで、本当に何をしているのかと言いたい。

オールジャパンでことにあたるという風潮が欠如しつつあるので、差別の問題も出てくるし、一部医療機関の連携も十分ではないところが出てくると思う。