歴史が面白い187

令和2年12月19日

  <12月19日>

年末年始 検査・病床に懸念新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中、多くの医療機関が休む年末年始に検査・診療が滞るおそれが出ている。自治体は協力金を支給して診療継続を求めるなど対応を急ぐ。検査の目詰まりが起きれば重症化する人の把握が遅れかねない。病床不足も懸念される。状況が悪化する地域に応援の医療スタッフを送るなど国の積極的な対応も重要になる。

東京都医師会によると、都内で年末年始も診察する診療・検査医療機関は14日時点で660か所で全体の2割だ。東京都は12月29日~来年1月3日に1日以上診察した診療・検査医療機関に4時間あたり15万円を支給する。登録を申請した機関は14日時点で数百か所。引き続き確保に取り組んでいる。(日本経済新聞12月20日)

 

高齢者への接種 3月にも開始厚生労働省は、新型コロナウイルスワクチンの高齢者への優先接種を始められる体制を2021年3月下旬までにつくるよう自治体に指示した。自治体は接種会場の確保やワクチン保管に必要な冷凍庫の配備、クーポンの郵送といった体制を整える。ワクチンの承認などが順調に進めば、3月中にも接種を始められる可能性がある。

厚労省自治体に示した体制整備案によると、まず2月下旬をめどに新型コロナウイルス患者の治療にあたる医療従事者ら約1万人を対象とする先行接種の体制をつくる。残りの医療従事者約300万人の優先接種の体制づくりは3月中旬までを目指す。

3千万~4千万人程度を見込む高齢者が3月下旬を目途に整備を終える。

残りの人の接種体制が整うのは4月以降になる見通し。(同)

 

 

ワクチン、欧米新興に強み新型コロナウイルスワクチンの実用化で欧米のバイオベンチャーが先陣を切った。18日に米モデルナが米食品医薬品局(FDA)から緊急承認を受けたほか、米ファイザーと組む独ビオンテックのワクチンは既に米英で使用が始まっている。開発期間を短縮できる新技術メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンで両社は大手をリードする。欧米では新興勢が新技術に挑む傾向が強く、ベンチャーキャピタル(VC)や慈善活動家などが資金面でも支える。

2010年、モデルナは次世代技術のmRNA医薬品の開発を目的に設立された。mRNAは遺伝子情報さえ分かれば1~2か月で治療薬候補を合成できる。開発期間の短さが最大の特徴だ。開発が先行するモデルナは販売できる製品を持たないことなどで20年1月初めまで株価がさえなかった。しかし、コロナ感染拡大で一変。mRNAはコロナワクチンの早期投入に有利との見方から株価は上昇し始め、18日の終値は140ドルと年初の約7倍。時価総額は約550億ドル(約5兆7000億円)とホンダや伊藤忠を上回る。そのmRNA技術を目当てに、英アストラゼネカや米メルク、米バーテックス・ファーマシューティカルズなど大手医薬会社こぞってモデルナと資金拠出をともなう提携を結んでいる。

ワクチン分野では大手は既存の不活性ワクチンで十分に利益を出しており、1000億円単位の資金を出して成功するかわからない新規の開発につぎこむのは経営合理性に乏しい。新興勢が技術開発に成功すれば買収するのが常道だ。(同)

 

(コメント)

モデルナのワクチンも実用化になった。

 

在スペイン・コンサルタント佐藤隆之氏によると、mRNAワクチンを開発したモデルナは、、創業は2010年。2019年時点で約830人の従業員を有し、約半数は修士や博士を取得している。本社は米国マサチューセッツ州にあり、2016年に自社でワクチンを内製できる工場を建設。

デルナの共同創業者はハーバード大学で幹細胞の研究を行っていたデリック・ロッシ氏。京都大学山中伸弥教授がノーベル賞を受けたiPS細胞の研究をもとに、ワクチンとしてより安全で効率的な手法を探った結果が、mRNAの成果に至ったと言われている。この技術を商用化するため、Flagship Ventures(現Flag

ship Pioneering)から投資を受け、2010年にモデルナの創業に至った。

 

臨床試験を実施しているワクチンには、ジカウイルス感染症、RSウイルス感染症、CMVなどが含まれるが、実は現時点で承認された医薬品はない。

それでもモデルナは、mRNAという新技術に着目した大手製薬会社との共同開発を多く進めている。がんワクチンについては、1億2500万ドルを投資したメルク社と、利益分配する提携を行った。ほかにもアストラゼネカやVertex社と共同開発を行い、3億ドル以上に達する研究開発費の支払いを受けている。

投資家からの期待も大きく、20億ドル以上の資金を調達した後、2018年にIPOを行った。このIPOは当時バイオテクノロジー企業としては最大規模だったと報じられている

 

mRNAワクチンは、ウイルスの遺伝子情報さえ分かれば、その仕組み自体は、どの

病気にも対応可能なのだ。新型コロナウイルスの遺伝情報は、2020年1月から継続的に解析されており、mRNAワクチン開発に活用された。

mRNAワクチンの利点として、従来のワクチンよりも構造が単純であるため、製造が容易な点があげられる。小規模な設備であっても素早く製造できるため、世界全体に配布する大量生産にも有利に働

 

このように、コロナが急速に全世界に広がった背景にグローバル経済があるように、モデルナのワクチン開発のワープスピードもより先鋭化した資本主義経済のたまものである。大手企業が単独で手掛けるにはリスクがありすぎるものを、ベンチャー企業が手掛け、成功しそうになったら共同開発する。そこにはベンチャーにかけるという資本家の存在がある。日本でもこの動きはあるが、まだまだ米国ほどの規模ではかなわない。

ただ、ワクチンについては、あまりのスピードで開発されているので、副作用の懸念は残る。これはメリットの大きさとデメリットをはかりにかけてという説明だが、未知のものをどうはかりにかけるのか分からないが。