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令和3年3月20日

  <3月20日>

五輪海外客 受け入れ断念。今夏の東京五輪パラリンピックを巡り、政府と東京都、大会組織委員会は20日夜、IOCと国際パラリンピック委員会(IPC)を交えて代表者による5者協議をオンラインで開いた。海外からの一般観客の受け入れ見送りを正式に決めた。

変異した新型コロナウイルスの世界的な拡大が続き、大規模に海外観客を受け入れれば大会の安全を確保するのが難しいと判断した。日本側が見送りの意向を示し、IOCとIPCが受け入れた。(日本経済新聞3月21日)

 

冷凍不要のワクチン治験新型コロナウイルスのワクチンで開発スピードと高い有効性で注目を集めるのがメッセンジャーRNA(mRNA)技術だ。最大の課題が超低温保管だったが、「凍結乾燥」で常温に近い環境で取り扱うことができる可能性が出てきた。米バイオ企業が年内承認に向け治験を進めるほか、独ビオンテックや米モデルナも開発に乗り出す。実用化されれば保管・輸送法が見直される可能性がある。

課題はコストだ。ワクチンを凍結乾燥させると製造原価が倍増するからだ。ワクチンを凍結乾燥すれば衝撃や温度管理など輸送・保管条件が一気に緩和されるが「高額な専用装置や添加剤も欠かせない。真空、凍結、乾燥といった工程のエネルギーコストもかかる」(星薬科大学の米持悦生教授)(同)

 

読売新聞社提言 感染症医療 戦略的体制に新型コロナウイルス対策で1都3県に出されている緊急事態宣言は21日で解除される。「第3波」では入院できないコロナ患者が続出し、日本の医療体制のもろさを露呈した。今後、感染力が高いとされる変異ウイルスの流行が懸念される。コロナ対策の長期化を前提とし、感染再拡大を抑制しうる体制を戦略的に構築するため、読売新聞社は7項目の対策を提言する。

1)パンデミックでは病床を「有事用」に。感染拡大時はコロナ診療に軸足。

2)感染爆発に耐える医療計画策定。病院の役割分担で病床逼迫防ぐ。

3)国はワクチン確保に全力を。診療所含め多層的な接種機会を。コロナ長期化に備え、独自開発支援

4)変異ウイルス監視で封じ込め。民間検査活用し早期検出。

5)仮設医療・療養施設の展開を迅速に。施設と人材を事前に決定。

6)看護師の負担軽減を徹底。広域派遣で医療を維持。

7)保健所の職員を増員せよ。手厚い研修をした上で退職者活用。

 

(コメント)

読売新聞の提言は、日本が入院できない患者を生み出した現実を踏まえての提言である。そして各提言はこれまでの報道時に確認された点を中心にまとめられている。

この中でさらに踏み込んで提言しているのは、保健所業務の選択と集中である。

多岐にわたる保健所業務を保健所の専門職が担当すべき業務と外部委託や応援の事務職員で対応する業務に分けて、コロナ時は対応すると提言している。

 

保健所は戦前の1937年に誕生している。その当時は毎年10万人以上が亡くなる結核対策が中心となったが、抗菌薬や予防接種の普及で死者は激減し、がんや生活習慣病などに業務は多様化し、感染症対策の比重は縮小した。

生活習慣病などは増加しつつあるが急激に増加することはない。患者が急増するのは感染症である。今後も未知の感染症が発現する可能性は高いという。しかし感染時は急激に業務が拡大するが平時は大きく縮小する。保健所に人員を確保しておくと平時は余剰が出る。疫学調査など保健所に置いておくことが適当なのか検討も必要だ。

保健所の増員は計画されているが、単に増員するのではなく、今一度原点に返り、組織としての在り方を検討した方がいいのではないか。