令和3年3月28日
<3月28日>
富士フイルム量産。新型コロナウイルスの感染を判定する抗原検査簡易キットの生産に乗り出す企業が増えている。富士フイルムは4月以降に量産を始め、日欧で販売する。感染再拡大で「第4波」の懸念も高まるなか、既存のPCR検査を補い、コロナ検査態勢の拡充を後押しする。
富士フイルムは新製品をまず少量生産し、2022年度までにベトナムで月200万個の量産体制を構築する。写真フイルム技術によりPCRの約90%の制度を持つ。
(日本経済新聞3月29日)
コロナ禍、超過死亡なし。新型コロナウイルス対策で初の緊急事態宣言からまもなく1年。欧米では死亡数が例年を上回る「超過死亡」が生じたが、日本は11年ぶりに減少した。国内では新型コロナの死亡数の9割は高齢者で、集団感染は高齢者施設が最多。
2020年1年間の死亡数(速報値)が前年より9373人(0.7%)減った。死亡数は高齢化で年2万人程度増えていたので、平年より3万人近く減少した形だ。
新型コロナ対応で受け入れ病院が見つからない救急患者は増えた。だが死亡数では19年に比べ脳卒中が約3200人、急性心筋梗塞が約1300人減少し、影響は少なかったようだ。
イスラエルのヘブライ大学などの研究チームは各国・地域の超過死亡を推計。2月末時点での最多は米国で約50万人。同時点で確認されたコロナの死亡数とほぼ同じ。
ロシアの超過死亡は推計35万人。同時点で確認されたコロナの死亡数8万人の4倍超。十分検査されていない可能性がある。台湾は5600人減少するなど、感染者が少なかった東アジアの死亡数は平均を下回った。
海外の論文では「新型患者の半数は無症状の人から感染している」と推定。英国の研究では高齢者施設などの職員への定期検査で感染リスクを3分の1に減らせるというデータが昨年4月下旬に出ている。(同)
英、都市封鎖を段階解除。英国が新型コロナウイルス対策のロックダウンを段階的に解除している。ワクチン接種が進み、感染者・死者数ともに減少傾向にあるためだ。29日からはゴルフなど屋外での運動が解禁となり、4月には飲食店も再開する。ワクチン接種が遅れるフランスなどは感染拡大に直面し、欧州内で明暗が分かれている。
欧州最多の死者を出した英国は、2020年12月にいち早くワクチン接種を始め、これまでに人口の半分近い約3000万人が1回目の接種を受けた。ピークで1日約1800人だった死者数は、足元では100人以下の日が続いている。感染者数も減っており、ワクチンの効果が出ている可能性がある。(同)
コロナ患者の3割が再入院。新型コロナウイルス感染症の入院患者で、退院から140日以内に再入院する人が約3割に上ったと英国の研究チームが報告した。国内では再入院のケースは限られるが、「高齢者や持病のある人は注意が必要だ」と専門家は指摘する。
ただ国内の新型コロナ患者の再入院例は少ない。症状の軽快を確認してから退院することが、再入院率の低さに影響している可能性がある。川崎市立川崎病院の坂本光男・感染症内科部長は「入退院の基準の違いや、地域・民族による遺伝的な傾向などの要因が考えられる」と話す。(同)
欧州もたつくワクチン接種。欧州で新型コロナウイルスのワクチン接種が始まって3カ月たった。製薬会社からのワクチン供給が遅れて接種のペースが上がらず、市民には不満が募る。ただ、EUが4月以降に供給量が増えると見込んでおり、各国は接種の担い手の確保などに力を入れ始めた。
EUによると、供給は1~3月には1億回分だが、4~6月には3.5億回分以上に増えるという。EUは「夏の終わり」までに成人の7割、2.5憶人に接種する目標を掲げる。(朝日新聞3月29日)
(コメント)
2020年は超過死亡はなく、前年より9373人死者は減っていたという。
日本は高齢化社会で毎年2万人死者は増えていた。これを考慮すると約3万人減ったことになる。
コロナ対策で手洗いやマスク着用の徹底などで、肺炎やインフルエンザの死者が減ったことが大きい。
一方米国やロシアでは超過死亡が出ており、また東アジアは日本同様に死者は減っているようだ。
おそらく日本や東アジアはコロナの死者が少なく、医療崩壊など危機的な医療提供体制に陥らなかったことが大きいのだろう。一般医療は平常時に維持され、コロナ自粛で呼吸器系の疾患による死者が抑えられたことが要因として考えられる。
だが今後はわからない。
日本では検診や健康診断も控えられた1年でもあった。日本対がん協会によると、20年に実施した胃や肺など5つのがんの集団検診で受診者は3割減少という。通院控えの影響で未発見の患者はさらに増えるおそれもある。