令和3年5月5日
<5月5日>
大阪、重症病床使用103%。大阪府は5日、新型コロナウイルスの重症者向けの確保病床とすぐ使える実運用病床(いずれも361床)に対する使用率が103%になったと発表した。コロナ用以外の病床で重傷者11人を入れることになり、初めて100%を超えた。5日時点の重症者は前日から3人減の446人となった。
府内の重症者は確保病床を上回る状態が続いており、軽症・中等症用病床などを使って治療している。5日時点で372人が重症用病床、73人が軽症・中等症用病床で治療中だ。このほか、滋賀県の医療機関が1人を受け入れている。(日本経済新聞5月6日夕刊)
ワクチン特許放棄支持。バイデン米政権は5日、新型コロナウイルスワクチンの国際的な供給を増やすため、特許権の一時放棄を支持すると表明した。ワクチンが足りない途上国が世界貿易機関(WTO)で要請していた。製薬会社は反対しており、交渉の先行きは不透明だ。
各種特許はWTOの「知的財産権の側面に関する協定」で保護が定められている。インドや南アフリカは自国でワクチンの生産を増やすため、ワクチンを同協定から一時的に適用除外とするよう求めていた。
ワクチンを開発した製薬会社を抱える米国のほか、EUなど先進国は特許権の放棄に反対してきた。米国が支持に回ったことで、WTOで具体的な条件を詰める。USTRは問題が複雑で「交渉には時間がかかる」と指摘した。(同)
WHO、ベルリンに情報収集拠点。WHOとドイツ政府は5日、次のパンデミックに対応するための情報収集・解析拠点をベルリンに設置すると発表した。新型コロナウイルスではWHOの初期対応が遅れたなどと指摘されており、各国から迅速に情報を吸い上げる仕組み作りを目指す。独政府がまず3000万ユーロ(約39億円)を拠出する。(同)
(コメント)
米国から出されたワクチン特許放棄については、ドイツのメルケル首相からすぐに反対表明が出された。
特許放棄すると、製薬会社の研究開発投資にインセンティブがなくなり、ワクチン生産に積極的でなくなり、今後の開発に深刻な問題となるからだとしている。
また、今問題となっているワクチン生産を制限している要因は、製造能力と高い品質基準であり、特許ではないとしている。
米提案で早くもモデルナの株価は一時12%安になったほどだ。
WTO(世界貿易機関)を通じこの問題を議論するが、今後の見通しは、協議は数カ月かかり部分的な適用除外にとどまる公算が大きいという。mRNA技術の知的財産を中国に供与することに米欧で合意できる可能性はほぼないためだという。
米国は、バイデン政権に替わったことで、これからは積極的に世界に目を向けていくということをアピールしたいようだ。
提案はEUから強く反対が出ることは想定しており、落としどころはまさに部分的な特許放棄になるだろう。