歴史が面白い328

令和3年5月9日

  <5月9日>

ワクチン本格配布。政府は高齢者に摂取する新型コロナウイルスワクチンの自治体への配布を本格化する。10日から2週間で1870万回分ほどを配る。希望する高齢者への接種を7月末までに終える目標だが、注射できる人材の確保や、集中する予約の混乱を回避できるかどうかといった不安要素はなお残っている。

高齢者への接種は4月12日に始まった。必要なワクチンは現時点で670万回ほど配送。実際の接種回数は5月6日時点で計24万回ほどにとどまる。(日本経済新聞5月10日)

 

必然だったワクチン敗戦新型コロナウイルスのワクチン開発で日本は米英中ロばかりか、ベトナムやインドにさえ遅れを取っている。

「ワクチン敗戦」の舞台裏をさぐると、副作用問題をめぐる国民の不信をぬぐえず、官の不作為に閉ざされた空白の30年が浮かび上がる。

 1980年台まで水痘、日本脳炎、百日ぜきといった日本のワクチン技術は高く、米国などに技術供与していた。新しいワクチンや技術の開発がほぼ途絶えるまで衰退したのは、予防接種の副作用訴訟で92年、東京高裁が国に賠償を命じる判決を出してからだ。94年に予防接種法が改正されて接種は「努力義務」となり、副作用を恐れる保護者の判断などで接種率はみるみる下がっていった。

 さらに薬害エイズ事件が影を落とす。ワクチンと同じ「生物製剤」である血液製剤をめぐる事件当時の厚生省生物製剤課長が96年に逮捕され、業務上過失致死罪で有罪判決を受けた。責任追及は当然だったが、同省内部では「何かあったら我々が詰め腹を切らされ、政治家は責任を取らない」(元職員)と不作為の口実とされた。

 いまや欧米で開発されたワクチンを数年から10年以上も遅れて国内承認する「ワクチン・ギャップ」が常態となった。

 新技術でインフルエンザワクチンに挑んだバイオ企業、UMNファーマの挫折は語り草だ。工場建設に100億円超を投じたが、認可申請は17年、既存ワクチンに比べて「臨床的意義に乏しい」との理由で退けられた。UMNは債務超過に陥り、曲折の末に塩野義製薬の傘下に入っている。米国で認可済みのワクチンだっただけに、医薬品業界は「単に新しいワクチンを導入したくないだけではないか」(国内製薬会社)と不信をつのらせた。

 研究者と技術は海外に流出している。あるウイルス学者は「日本は規制が多い一方、支援体制が貧弱だ」と指摘する。(同)

 

変異型ワクチン開発へ。バイオ企業のアンジェス塩野義製薬が新型コロナの変異ウイルスに対応するワクチンの開発に乗り出す。アンジェス創業者でワクチンを共同開発する大阪大学の森下竜一寄付講座教授が9日、アンジェスが開発を始めたことを明らかにした。塩野義製薬も同日、変異型対応のワクチンの開発を検討していることを明らかにした。(朝日新聞5月10日)

 

 

(コメント)

日経新聞にワクチン敗戦とセンセーショナルな見出しが載った。

確かに不幸な歴史を歩んできたことはわかるが、ワクチン戦争があり敗戦したとは言いすぎだ。

今はアンジェス塩野義製薬第一三共、KMバイオロジクスなどが新型コロナウイルスのワクチンを開発中である。

ワクチンが英米などと比べ遅れているのは事実だが、まだ英米と比べて感染者も死者も少ない。

日本で一番の問題は病床の不足だ。

大阪では病院に入れず、治療も受けられないで死んでいく人が出てきている。

医療崩壊といってもいい局面だ。

これは病床があるが運用されていないという人災だ。ここの解決が急務だ。