令和3年8月5日
<8月5日>
「ロックダウン法制化議論も」。政府の新型コロナウイルス分科会の尾身茂会長は5日、感染が爆発的に広がる現状を脱せない場合、ロックダウン(都市封鎖)の法制化に向けた議論をせざるを得なくなるとの認識を示した。
現状について尾身氏は「緊急事態宣言を出しても、もう期待される効果がない」と指摘。「関東地方ではどんどん感染の拡大スピードが上がって、医療の逼迫がかなり厳しい状況だ」とした上で「にもかかわらず、メッセージが伝わらない」と危機感を示した。職場や学校、地域での検査の拡大や医療提供体制の強化などが改めて必要だとも強調した。
都市封鎖をめぐっては全国知事会が現状よりも強い措置の一つとして検討を求めている。政府は導入に否定的で、菅義偉首相は「日本にはなじまない」との考えを示している。
(コメント)
分科会の尾身会長からロックダウンの法制化議論の発言が出た。
分科会会長としては少々踏み込んだ発言だ。
全国知事会からも同様な話が出ている。
感染急増を前にして手詰まり感があるからだ。
感染を抑制する立場のひとにとってロックダウンは魅力的だ。
中国の成功例があるからだ。
だがその前にできることはやってきたのかが問われる。
成功例の中国にしても、ロックダウンと同時に仮設の病院を2棟を急遽用意した。
ロックダウンという強硬手段の前に、国、自治体は医療提供体制を強化してきたかがまず問われることになるのではないか。
またメッセージが伝わらないということにしても、国の矛盾するような政策について、十分説明されているのか。
自粛することに納得感のあるメッセージがとどいていないのではないか。
なにより信頼感がなくなっているのではないか。
そういうなかで、為政者にとって、ロックダウンという強制力のある権力は魅力的である。
すべての失政も覆い隠せるし、行動制限を強制できる。
だからこそ民主国家にとって慎重に扱わなければならない。
首相がなんとも抽象的に「日本にはなじまない」といったのは、世論の動向をみてどうとでも展開できる発言にすぎない。(了)
自宅療養は東京中心。菅義偉首相は5日、首相官邸で開いた新型コロナウイルス対策本部で新型コロナ感染者の入院を巡る新たな政府方針を説明した。重症者らを除き自宅療養を基本とすることに関し「東京都をはじめ感染の急増地域でも誰でもが必要な医療を受けられるよう緊急的な方針をまとめた」と述べた。
同日の対策本部では「まん延防止等重点措置」の適用対象に福島や茨城など8県を追加する方針を正式に決めた。(日本経済新聞8月6日)
入国後一律14日隔離の日本ルール。新型コロナウイルスの水際対策を巡る日本と米欧の対応の違いが鮮明になってきた。米国は入国制限の対象国かどうかにかかわらずワクチンを接種済みなら入国を認める検討を始めた。日本は接種済みの入国者にも隔離を求める措置を続ける構えで、世界的な往来再開の動きに距離を置く。
(日本経済新聞8月6日)
32都道府県「ステージ3・4」。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言と「まん延防止等重点措置」の対象が8日から19都道府県に拡大する。新規感染者が国の指標で「ステージ3(感染急増)・4(感染爆発)」に相当するのは4日時点で32都道府県まで広がった。お盆休みを控え、重点措置の対象外の自治体も飲食店の営業時間短縮なと対策を強化している。
(日本経済新聞8月6日)
接種再開、在庫活用が課題。新型コロナウイルスのワクチン供給が追い付かず、維持停滞した自治体接種が徐々に再始動している。ピーク時より減速したが安定的に100万
~120万回ペースを維持し、10~11月の接種完了を目指す。2カ月先まで予約が埋まる自治体もあり、打てずにいる人は多い。在庫や偏在を解消し、現役世代の接種率を向上することが感染抑止に不可欠だ。
(日本経済新聞8月6日)
東京感染5000人超え。東京都は5日、新型コロナウイルスの感染者が新たに5042人確認されたと発表した。5千人を上回るのは初めて。全国の新規感染者数も初めて1万5千人を超え、いずれも2日連続で過去最多を更新した。
(日本経済新聞8月6日)
世界の感染者、2億人超え。世界の新型コロナウイルスの感染者数が5日(米東部時間4日)、累計で2億人に達した。1月下旬に1億人を超えてから約半年で倍増した。先進国を中心にワクチン接種が進み、4月下旬以降減少してきた新規感染者数は、感染力の強い変異ウイルスの流行で再び増加に転じた。さらなる変異を食い止めウイルスのまん延を防ぐためにも、接種の遅れる新興国へのワクチン供給を急ぐ必要がある。
(日本経済新聞8月6日)
余裕なき都 絞る入院。新型コロナウイルスの入院患者数が急増する中、東京都は5日、病院の役割分担を明確にして、緊急時の入院・療養体制に入るとの方針を示した。
入院患者数を抑えるための措置だが、すでに都内の病床は埋まりつつある。「入院制限」によって、自宅療養に回る可能性が高まる中等症患者のケアにも不安が残る。
(朝日新聞8月6日)