歴史が面白い447

令和3年9月5日

  <9月5日>

新型コロナの感染対策を五輪より強化して臨み、大きなトラブルなく全日程を終えた。ただ、国内の感染状況は悪化し、医療現場から悲鳴が上がった。子どもたちに観戦機会を与える試みも賛否は分かれた。

組織委がまとめた選手ら大会関係者のコロナ陽性者は五輪、パラ合わせて848人で、大半が国内の業務関係者だった。選手村内のクラスターは五輪終盤の1件にとどめた。

新規感染者数や療養者数、重症病床の使用率がステージ4に達し、開催について世論が分かれる中で五輪は開幕。感染力が強いデルタ株が広がり、開幕から4日後の7月27日に都内の新規感染者は過去最多の2848人を記録し、8月5日には初めて5千人を超えた。パラリンピック開幕後も2千~4千人台が続いた。

感染爆発に伴ってコロナ病床は逼迫し、医療関係者からは「現場は限界」「なぜ今、五輪なのか」といった声が相次いだ。

一方、政府は「五輪、パラリンピックによる感染拡大はなかった」との立場を崩していない。国立感染症研究所が集計したところ、五輪関連の感染は453例で、このうち海外からの渡航者が147例だった。田村憲久厚生労働相は「海外からの渡航者に関連して市中に感染が広がった事実は確認できていない」と述べた。

新型コロナの感染急拡大で、一般客の感染は断念したのに実施に踏み切った学校連携観戦プログラムには「矛盾している」「感染のリスクがある」などと批判が集中した。

都では、都教育委員会臨時会で教育委員5人中4人が反対を表明。江東区や港区なども中止に転じ、参加を決めた自治体でも辞退者が続出した。開幕日の24日時点の観戦予定者数は約2万4千人だったが、組織委によると、5日までの入場者数は約1万2千人にとどまった。参加したある学校長は相次いだ批判について、「PCR検査を受け、定員の半分以下でバスを利用し、競技会場もほぼ貸し切り。正直、普段の学校生活よりも感染リスクは低いと思う。イメージで批判されているようだった」と振り返る。

朝日新聞9月6日)

 

(コメント)

五輪、パラリンピックが終わった。

開催中、日本はコロナの爆発的な感染拡大となった。

開催による影響は直接見えなかったので、バブルや選手村での対策は機能したといえるのかもしれない。

この点で関係した方のご努力には感謝したい。

 

しかし、間接的な影響については否定できない。

よく言われる行動制限のさなかに五輪開催と矛盾するメッセージを与えた点だ。

繁華街の人出も思ったほど減らなかった。

 

五輪開催については5月時点では開催に反対の人が8割程度で、開催が決定された直前でも反対は5割を超えていた。

読売新聞が8月7日~9日に行った世論調査では、開催してよかったという人が64%となり、日本人の活躍で盛り返した。

しかし、1954年の前回の東京大会は92%の賛成の下で開かれており、やはり反対を押し切った開催だった。

 

開催が決まれば日本の強い現場力で乗り切って良かったとなるが、

民意に反して強行した形となった五輪については課題は残している。

菅首相の退陣でこれで幕引きとはならない。

日本の民主主義は機能したか検証が必要だ。(了)

 

 

緊急事態延長 週内に判断。政府は新型コロナウイルス対策で21都道府県に発令中の緊急事態宣言の扱いを週内に判断する。12日までの宣言期限が迫っているものの、首都圏や関西圏、中部圏が感染状況で最も深刻な「ステージ4」で、病床使用率は高水準が続く。専門家や自治体の意見を踏まえて延長の可否を決める。

政府内には医療提供体制の改善が見られる一部地域を除き、宣言の延長はやむを得ないとの意見が広がる。その場合の延長幅は2~4週間程度で調整する。

日本経済新聞9月6日)

 

「低用量接種」研究に注目。世界で新型コロナウイルスワクチンの供給格差が広がる中、1回の接種の容量を半分などに減らして接種回数分を増やす方法が注目されている。過去には黄熱ワクチンの供給不足への対応として、アフリカや南米でワクチンを小分けにして節約した例がある。WHOはコロナワクチンでも「公衆衛生上有益な可能性がある」とし、研究を奨励している。

日本経済新聞9月6日)

 

G20、ワクチン配分議論。20カ国・地域(G20)の保健相会合が5日、イタリアの首都ローマで開幕した。世界で新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)が猛威を振るうなか、ワクチンの公平分配などを議論する。

日本の田村憲久厚生労働相は出席を見送った。

日本経済新聞9月6日)

 

パラ 綱渡りの「安全」。東京パラリンピックが5日、幕を閉じた。大会組織委員会