歴史が面白い6

2月に入りました。

 2月1日 香港政府は、1月25日に下船したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号(以下クルーズ船)の乗客が新型コロナウイルスに感染していることを発表した。クルーズ船は2020年1月20日、横浜港を出発し、鹿児島、香港、ベトナム、台湾、および沖縄に立ち寄り、2月3日に横浜港に帰港することになっていた。乗客2666人、乗員1045人、合計3711人が乗船している。

 

NHKの特集記事によると、当初政府に危機感は薄かった。体調不良を訴えている人の検査が陰性ならば船全体を陰性とみなせる、こうした見立てを踏まえ、発熱やせきなどの症状がある人や、そうした人に濃厚接触した人に限り、ウイルス検査を行うつもりであった。検査の1日の処理件数に限界があることも理由だった。そして、体調が良好な乗客の下船は認める方向であった。こうした、期待は後にもろくも崩れ、政府の対応が後手後手に回りはじめることになる。

 

新型コロナウイルスを「指定感染症」とするのを2月7日から1日に前倒したが、それと同時に空港での入国手続きも「厳格化」した。

 

 2月3日 クルーズ船、横浜港大黒ふ頭沖に到着・停泊した。その日下船は許可されず、4日からとされた。2月3日からの2日間、全乗客乗員の健康診断が検疫官により行われ、症状のある人、およびその濃厚接触者から新型コロナウイルスの検査のために咽頭ぬぐい液が採取することになった。

 

 2月4日 クルーズ船、下船予定は24時間延期された。その夜、ウイルス検査の結果に政府に衝撃が走った。結果が判明した31人のうち10人が陽性であった。菅官房長官、加藤厚生労働大臣、赤羽国土交通大臣を中心に20人が急きょ深夜集まった。そこで、現時点で3700人を収容できる施設はないことなどから、下船を認めない方向に舵を切った。

 

 2月5日 クルーズ船、乗務員を含む乗員10人の感染が判明。加藤厚生労働大臣は記者会見をし、当初の方針を変更し、ウイルスの潜伏期間を踏まえ、乗客全員に対し、原則として起算日となる5日から14日間、船内の自室にとどまってもらう方針を表明した。事実上、「隔離」に踏み切ることとした。そして、重症しやすい高齢者や持病がある人をウイルス検査に加えることにした。

 

台湾は、中国からの入国を6日から禁止すると発表した。

中国政府は、26日開催の「日中民間ビジネスの第三国展開推進に関する委員会」の延期の申し入れがあった。

官房長官は、中国国家主席国賓訪日について現時点では予定通り進めると述べた。

 

 2月6日 クルーズ船、感染者は20人となる。

五輪組織委員会感染症対策本部を設置したことを明らかにした。

乗客に感染の疑いが確認された別の香港発のクルーズ船ウエステルダム号の入国を拒否した。

 

 2月7日 クルーズ船、最初に検査した273人全員の結果が判明し、その結果に改めて驚きが広がった。検査対象者の22.3%が陽性、新たに41人、合計61人が陽性と判明した。救急車が次々とクルーズ船に向かい、感染者を病院に送っていく。テレビの映像はただならぬ事態を伝えていた。

 

武漢新型肺炎に警鐘をならしていた医師が死亡した。

 

安倍首相は来週にも緊急対応策をとりまとめる考えを示した。

加藤厚労相はクルーズ船の感染は特殊な環境で起きたもので、国内の感染状況とは異なると強調した。

 

専門家のコメントは、「封じ込めより医療体制維持をめざすのがよい」(国立国際医療研究センターのグループ)、「これまで国内発症者は軽症が多いようだ。健康な人なら、感染初期は自宅療養が得策」(岡部信彦)

 

LINEが新型ウイルス情報提供の公式アカウントを設置した。

 

宝塚歌劇団は観客とのハイタッチや握手の演出を控えると発表した。

 

(コメント)

政府の対応がクルーズ船の状況が分かってから明らかに違ってきた。そうとう慌てたようだ。ここから危機体制のスイッチが入ればよかったのだが、厚労省の現場対応である。担当部署は平時の法律の範囲内の対応であり、刻々と変化する、それも初体験の出来事には前例の範囲でしか対処できない。ましてや省をまたぐことには。対策本部の一刻も早い立ち上げが必要であった。