歴史が面白い74

令和2年8月27日とエアロゾル感染「中」

  <8月27日>

「全国民にワクチン」。政府は28日、新型コロナウイルスの感染拡大への対策パッケージを決定する。2021年前半までに国民全員分のワクチンを調達できるよう予算を確保する。新型コロナウイルスの感染の有無を判定する抗原検査キットも1日20万件分用意する。(日本経済新聞8月28日)

 

高齢者施設、職員ら検査。東京都の小池知事は27日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染防止策として、高齢者施設の職員らを対象としたウイルス検査を都独自で実施すると発表した。都は従来型のPCR検査とは別の手法を探る。対象者が自分で採取した唾液を検査機関に持参しウイルスの有無を暫定的に判定してもらう「スクリーニング検査」の実施を検討している。(同)

 

ロボット、検温や清掃。東京都などは27日、検温や清掃をするロボットの実証実験を始めた。新型コロナウイルス感染者の宿泊療養施設で使用することを想定。(同)

 

インド新規感染、最多に新型コロナウイルスの新規感染者数は、米ジョンズ・ホプキンス大学の26日の集計で、世界で28万7686人だった。インドが過去最多の8万5687人と、世界全体の3割を占めた。インド政府が検査能力を高めているのも増加の一因といえる。検査ラボの増設で24時間で約92万件の検査を実施した。(同)

 

仏、パリ屋外マスク義務。フランス政府は27日、28日朝からパリ全域の屋外でマスク着用を義務付けると発表した。従来はバリの主要駅や観光施設の周辺が着用義務の対象だった。ドイツのメルケル首相は27日、新型コロナウイルスの感染者の増加を抑えるための新たな対策を発表した。電車などでマスクを着用しなかった者への罰金の導入や大型イベントの年内禁止が柱となる。(同)

 

<<エアロゾル感染「中」>>

 

新型コロナウイルスエアロゾル感染」(長崎大学バイオハザード予防研究会著)による考察が出されている。以下それによると、

 

「感染の状況から判断して、新型コロナウイルスの感染経路はエアロゾル感染が主流なことは疑いようがありません。エアロゾル感染は、感染者の通常の呼気からエアロゾルの形で息が排出され、それがそのエアロゾルが空中を漂う間に水分が蒸発し、マイクロ飛沫という微小な飛沫となって、ウイルスを運び、その空気中を漂っている微小な飛沫を第三者が吸い込むことで、感染が起きるのです。・・密閉した狭い空間に複数の人がある程度の時間一緒に過ごせば、それだけで感染してしまうのです。人が大量に集まるから感染するのではありません。人数に関係なく、空気の換気ができなくて、密閉した空間では、ウイルスが溜まって感染リスクが高まるのです。」

 

「北海道で感染者が多かったのは、寒冷地で暖房のために住居の密閉性が極めて高いからと推測されます。クルーズ船・屋形船・バス・タクシー・スポーツセンター・ライブハウスなどの感染も、すべて密閉した狭い空間で起こっています。中国をはじめ各国の刑務所、韓国の新興宗教の教会、イランのモスクでの礼拝、アメリカの教会での大量感染もすべて同様です。その数が大量であったために、大量に集まると感染すると誤解されているのです。人数の多寡ではなく、密閉した換気の悪い空間かどうかが決定的に重要なのです。したがって、軽症感染者を自宅で看病させるのは、家庭内感染のおそれが高く、避けるべきである。」

 

新日本空調株式会社は、微粒子可視化システムをHPで紹介していて、可視化動画を公開しています。・・・・NHKが同社の協力で高感度カメラで撮影した「あなたに知ってほしい 密閉空間で漂うマイクロ飛沫とは?」で、くしゃみの大きな飛沫はすぐ落下するが、小さな微粒子は3時間以上漂うことや、大きな声の会話でも飛沫がでることを伝え、「見えてきた新たな感染の仕組み」では「マスクをするとマイクロ飛沫の量は大幅に軽減されます」と説明しています。くしゃみはイギリスの研究では、6メートルも先へ飛ぶことが報告されていますが、大声での会話でなくても、普通の声の会話や、さらに言えば、普通の呼吸で、いつもエアロゾルは放出されており、その中にウイルスがあれば、それが拡散しているということです。」

 

「4月16日には、オーストラリア・クイーンズランド工科大学と中国科学院の研究グループが新型コロナウイルスは、感染者から排出された飛沫が空気中で非常に小さくなり、数メートルから数百メートルも移動する可能性があると発表しました。国際的な環境学専門誌「エンバイロンメント・インターナショナル」に報告したもので、

2009年のWHOのレビューでウイルスがエアロゾルなどで室内全体に広がり短期間にクラスターが生じる可能性があるとしていることも紹介し、

研究グループのリディア・モラウスカ教授は飛沫は排出された直後に蒸発し始め、小さくなったものは数メートルから数百メートルも移動出るとしたうえで「新型コロナウイルスが空気中に拡散しているという推定にもとづいて行動すべきだ」といいます。

クルーズ船での集団感染も部屋に隔離した後発症しているのは、エアロゾルが客室間を移動したためとし、室内の自然換気を増やすこと、空気の再循環を避けること、同じ環境を共有する人の数を最小限に抑えることなどを呼びかけています。」

 

 

(私のコメント)

エアロゾル感染については、クラスターの実例からするとほぼ疑いようがないと考えられる。それであるならば、普段警戒されない感染した無症状者が、エアロゾルを会話する際に排出されたとすればマスクなしでは防ぎようがないのではないか。

最近の家庭内感染の増加をみると、外で移され家庭に持ち込めばほぼマスクなしで生活するので感染することは避けられない。さらに医療機関の逼迫化に備え、法改正で軽症者や無症状者の自宅療養の方針が出される見込みだが、これはこのエアロゾル感染を前提にしない危ない判断と言わざるを得ない。

エアロゾル感染ならばマスクの効用はどうかという議論になるが、それについては最近極めて強力な実験がなされた。それは次回とする。