歴史が面白い121

令和2年10月13日

  <10月13日>

米J&Jのコロナワクチン 日本の治験も一時中断。米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソンが開発中の第1相の臨床試験(治験)も一時中断したことがわかった。

決算発表後の電話会見で、前日発表した新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)についても言及。治験参加者の1人に原因不明の疾患が発生したことは調査中であるとしたうえで、中断が「最短で数日程度」との見方を示した。(日本経済新聞10月14日)

 

コロナ薬治験一時中断。米製薬大手イーライ・リリーが開発中の新型コロナウイルス抗体薬について、臨床試験(治験)が一時中断されたことがわかった。治験の一時中断は「潜在的な安全上の懸念」が理由だったという。(同)

 

コロナ再感染 米で初確認。米ネバダ大の研究チームが、米西部ネバダ州の25歳の男性が新型コロナウイルスに再感染したと発表した。世界で5例目(香港、オランダ、ベルギー、エクアドル)。「集団免疫」戦略に疑問符がついた格好だ。論文は12日、英医学誌ランセットに掲載された。男性は4月中旬の新型コロナウイルスの検査で陽性と判定され、その後2度の検査で陰性だった。5月末に不調を訴え、6月上旬に再び陽性の結果が出た。1回目と2回目のウイルスは、異なる系統の遺伝子を持つウイルスに感染していた。ネバダ大のマーク・パンドリ博士は「最初の感染が必ずしもその後の(再感染から身を守るわけではない可能性がある」と指摘した。(同)

 

大田区と東邦大 対コロナ 感染制御学講座。東京都大田区東邦大学は11月から、新型コロナウイルス対策を強化するため同大に感染制御学講座を設置する。区職員が感染症について学ぶほか、感染症の専門的な分析を区の施策に反映させる。講座は同大教授で日本感染症学会の理事長も務める館田一博氏のもとに設ける。(同)

 

飲食時飛沫拡散 隣は正面の5倍理化学研究所は13日、世界最高の計算速度を誇るスーパーコンピューター「富岳」を使い、飲食時の飛沫の拡散などを計算した結果を公表した。話をする人の正面よりも隣に座る方が、約5倍の飛沫を浴びることが分かった。湿度が低いと飛沫が小さくなり拡散しやすい結果も出た。新型コロナウイルスの冬の感染対策に役立つという。

飲食店での食事を想定し、縦60センチ、横1.2メートルのテーブルについた4人が、マスクをせずに会話した際のシミュレーションをした。発話者が出す飛沫の拡散を調べた。一人の発話者が正面と隣、斜め向かいに座ったそれぞれの人に顔を向けて会話した場合を計算した。隣の人は、正面に座る人の約5倍の量の飛沫を浴びた。斜め向かいだと正面の約4分の1にとどまった。

部屋の湿度でも飛沫の拡散の程度は変わった。咳をした時、湿度が30%では、口から出た飛沫は乾燥して小さくなる。エアロゾルになり周囲に拡散した。湿度60%の場合に比べ、1.8メートル先に届く飛沫の量は2倍以上になった。(同)

 

高齢者施設の面会 緩和新型コロナウイルス対策について厚労省に助言する専門家組織(アドバイザリー・ボード)は13日、現在は原則としている高齢者施設や医療機関での面会について、必要な感染症対策をとることを条件に認める方向性で一致した。(朝日新聞10月14日)

 

9月4連休後「感染増の地域も」厚労省新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織(アドバイザリー・ボード)は13日、9月の4連休(19日~22日)以降、感染者が増えた地域があるとし、「感染拡大の動向に留意が必要」と評価した。1人の感染者が何人に感染させるかを表す実効再生産数は8月末以降、東京、大阪、北海道、沖縄で1前後が続く。1超えは感染拡大を示す。(同)

 

世界経済見通し やや改善IMFは13日、最新の経済見通しを発表した。2020年の世界の成長率見通しは、前年比4.4%減と6月の見通しよりやや改善した。中国経済の急回復や、先進国の空前の支援策が支えとなった。IMFのギタ・ゴビナス調査局長は報告書で「(コロナ危機が)女性や非正規雇用、低学歴の人々に偏って打撃を与えたため、格差も悪化する」と述べた。米国は-4.3%、中国1.9%、日本-5.3%、ユーロ圏-8.3%。(同)

 

 

(コメント)

スーパーコンピューター富岳のシミュレーションの結果にはいつも驚かされる。居酒屋の飛沫の拡散結果で隣が正面より5倍飛沫を浴びるという。一時期、座るときは正面を避け、横に座るとよいという話があったように記憶している。はす向かいに座るのがベストらしい。

理化学研究所の坪倉氏は同時に、飛沫飛散における湿度や距離の影響、合唱時のリスク評価なども発表している。

たとえば、20分程度の会話を続ければ、結果的には咳一回と同じ程度の飛沫およびエアロゾル(0.5マイクロ(メートル)以下の飛沫、1マイクロメートルは0.001ミリ)が発生。歌唱時は、5分程度で咳一回分と同じ飛沫およびエアロゾルとなる。

「カラオケで1曲歌うと、咳1回分の飛沫、エアロゾルが飛散すると同じ」

 

マスクの防御効果は、不織布マスクは大きな飛沫に対しては効果的だが、20マイクロ以下の小さな飛沫に対する効果は限定的でマスクしていない場合とほぼ同という。

フェイスシールドは、飛散してくる飛沫を防御する効果は高いが、エアロゾルに対しては、隙間からの侵入が避けられない。

 

ソーシャルディスタンス(1.8メートル)を取って座った場面で、湿度30%の場合には飛沫の約6%が到達するが、湿度90%だと2%にとどまるという。一方で湿度90%の場合は、飛沫の8%が机に落ちる。湿度が高いと机に落ちる飛沫の量が増加し接触感染リスクが高まることにつながる。

 

飲食店で横に座るのはリスクが高いということだが、他人が座り会話がなければリスクは低い。お互いが顔を向けなければいいのだ。

飲食店でマウスガードをした場合の効果は、大きな飛沫をブロックすることには効果があるがエアロゾルに対しては効果はほとんどないことがわかった。

飲食店ではエアロゾルに対する換気が大きな効果がある。ソーシャルディスタンス、はす向かいの座席、換気、接触感染防止策など複数の対策をする必要がある。

他にも合唱のときのシミュレーションも行っており新しい知見も出ている。

 

このように複雑な現実に答えを出すのは今までは考えられなかった。できるようになったのは富岳のスーパーコンピューターたるゆえんである。富岳の性能は一時期、世界一であった「京」で今回のシミュレーションをやったら1年以上かかるという。このような現実的な場面で答えがでるのは感染症対策で極めて強力な武器となろう。

今後も様々な状況でのシミュレーションをしていくとのことでその結果に注目していきたい。