歴史が面白い159

令和2年11月21日

  <11月21日>

感染地へのGO TO 停止。政府は21日、首相官邸新型コロナウイルス対策本部を開き、観光需要喚起策「GO TO トラベル」事業を一部制限すると決めた。感染拡大地域を目的とする旅行は新規予約の一時停止を検討するよう都道府県知事に求める。国内の新規感染者は4日連続で2千人を超えた。経済活動と両立を目指してきたが、感染防止の警戒を強める必要があると判断した。

外食需要喚起策「イート」事業についても食事券の新規発行の一時停止や、ポイントの利用を控えるよう呼びかける。(日本経済新聞11月22日)

 

治療薬「安価で途上国に」。20か国・地域(G20)首脳会議が21日、開幕した。菅首相新型コロナウイルス治療薬を途上国に安価に供給できる枠組みの活用を提案した。(同)

 

「我慢の3連休』人出に地域差新型コロナウイルスの感染が拡大する中「我慢の3連休」が始まった。全国的にはおおむね行楽日和となった21日の各地の人出は、市民に不要不急の外出自粛要請を出した札幌市で前週比1割減。独自の警戒レベルを最も深刻な段階に引き上げた東京都でも1割弱減った。一方で紅葉シーズンを迎えた京都を中心に関西圏は増加し「警戒感」には地域差がでた。(同)

 

「イート」お預けに落胆。「GO TO イート」事業を巡り、菅首相が食事券の発行停止などを要請すると明らかにした。事業は10月に始まったばかりで、飲食店からは「客足が遠のきかねない」と惜しむ声も。食事券などは一部で入手困難になる人気ぶりで、転売も問題となった。(同)

 

都道府県で感染者最多新型コロナウイルスの国内の新規感染者が21日、初めて2500人を超え、東京都や大阪府など7都道府県で過去最多を更新した。

東京都では21日、539人の感染が確認され、これまでの最多だった19日の534人を上回った。大阪府も415人と初めて400人を突破。埼玉県(173人)、兵庫県(150人)、千葉県(109人)、茨城県(66人)、愛媛県(20人)も最多を更新した。(同)

 

米 感染対策に濃淡。米国で今月に入り、新型コロナウイルスの1日あたりの新規感染者が連日10万人以上のペースで増え続けている。州の権限が強い米国では全米にまたがる対策が取りにくいことが、ウイルスの封じ込めを難しくしている。

米国では、9月下旬に1日100万件程度だった全米の検査数が現在、150万件を超える。一部の州では薬剤師による検査が可能で、医療従事者や食料品店員らエッセンシャルワーカーには定期的な検査が義務付けられるためだ。検査の陽性率はこの1か月で4%から10%に上昇した。

陽性率が50%を超えるサウスダコダ州のクリスティ・ノエム知事(共和党)は18日、州政府としてマスクの着用義務化や経済活動の停止を行わない考えを表明した。

「州ごとに言うことが異なる。全米で統一的な対策が必要だ」。アンソニー・ファウチ国立アレルギー感染症研究所長はそう訴えるが、トランプ氏はウイルス軽視の姿勢を変えていない。(読売新聞11月22日)

 

欧州「第2波」危機続く新型コロナウイルスは欧州では、「第2波」が猛威を振るう。11月15日までの1週間の新規感染者数は約184万人に上り、世界全体の46%を占める。

イタリアでは11月以降、1日当たりの新規感染者が連日3万人を超え、北部ロンバルディア州などの病院では危機的な状況が続く。入院者は11月中旬に初めて3万人を超え、その後も増加が続く。入院患者と集中治療室(ICU)の患者の2~3割は同州に集中し、新型コロナウイルス以外の病気の患者の手術が延期されるなど深刻な影響が出ている。春の「第1波」では、集中治療が必要な患者はイタリア全体で7000人だったとされるが、現在は約3700人にとどまり、第1波で2桁近かった致死率も3.7%に低下した。

一方、フランスでは10月30日に再び全土で外出制限がだされた後、感染者数は減少傾向にある。今月7日の新規感染者数は最多の約8万7000人となったが、ここ数日は4万~2万人台ほどで推移する。ICUの利用者は約4600人で受け入れ可能人数の約90%を占めるが、仏政府は事態がさらに悪化した場合、1万2000人まで拡充できるよう態勢を整えている。(読売新聞11月22日)

 

(コメント)

欧米の感染拡大が深刻である。とくにサウスダコダ州の陽性率50%超が凄い。

マスクの義務化も経済活動の制限もしていないようだ。

日本でもインフルエンザは年間1000万人かかり、一日10万人かかるというが、何もしていないと流行とは1日数万人のオーダーで感染するのだろう。

 

マスクの効用についてはいまさら指摘するまでもないが、京都大学名誉教授の川村孝氏の論考によると、

『感染して細胞内で増殖したコロナウイルスやインフルエンザウイルスは、ムチン(糖タンパク)と水分からなる粘膜にくるまれて気道に放出され、大小の飛沫となり、咳やくしゃみと、発声などに伴って体外に放出される。

体外に出ると飛沫は徐々に水分を失い(粘液からの水分喪失速度はただの水滴より遅い)、水分が蒸発しきると飛沫核(ウイルス+ムチンの残骸?)となる。

飛沫核や微小飛沫レベルのミクロ世界では慣性(重力)より粘性が強く支配するので、それらの粒子は空中を浮遊してなかなか落下せず、吸引によって他者に感染しうる(空気感染)。

大飛沫レベルのマクロ世界では、粒子は慣性(重力)の方が粘性より強いので、落下して机上や床上に付着し、接触によって他者に感染しうる(接触感染)。

・・・

飛沫核による感染はほとんどが空気感染で、大きい飛沫による感染はおおむね接触感染だが、微小飛沫のレベルでは空気感染も接触感染も起こりうる。

・・・・

新型コロナウイルスもインフルエンザと同様、微小飛沫状態で空中を浮遊する可能性は十分あると思われる。ただ、粒子径が小さいと含まれるウイルス量が少なく(直径が10分の1になると体積は1000分の1)、感染の成立には多数のウイルスが必要であること、また飛沫が乾燥しきってしまうとこれらのウイルスは感染力を失うようなので、感染者の至近距離で咳やくしゃみの直撃を受ける場合を除いて感染の主体は飛沫への接触であろう。

マスクは、完全ではないが飛沫の飛散をそれなりに抑え、またコロナウイルスの体内ウイルス量が最大になるのは感染後のまだ無症状の時期(潜伏期間中)であることから、

その常時着用は予防手段として大きな意義があろう。また、接触感染の防止のためには、他者がれたものへの接触を避け、やむを得ず振れた場合は速やかに石鹸を用いた手洗いかアルコール等による消毒を行う必要がある。』

 

感染するには一定のウイルス量が必要という点をわきまえることが、むやみに恐れるのではなく正しく恐れることになる。それではどの程度かという点が難しい。

川村教授によると至近距離の咳やくしゃみの直撃と大きな飛沫の落ちた机の上などに接触することのようだ。

ウイルス量ということから大声で会話したり、カラオケで歌ったりすることも入るのだろう。また、密閉空間で長時間大声で会話すると浮遊する飛沫の濃度も上がり、ウイルス量も増えるのだろう。

咳やくしゃみの飛沫の飛散状況は、スーパーコンピューターの富岳でシミュレーションされており、その知見もある。

そしてやはりマスク着用である。これが欧米と日本の感染の違いの大きな要因だろう。

そしてウイルス量という観点からいうと、欧米の言語は日本語と違い破裂音が多く、会話での感染リスクは日本語より大きい。感染拡大の差にも多少影響があるかもしれない。

 

(注)川村孝京都大学名誉教授 新型コロナウイルス感染症に関する論考(続編)

 2020年11月20日 山中伸弥教授の情報発信のHPより