歴史が面白い73

令和2年8月26日とエアロゾル感染「上」

  <8月26日>

コロナ・インフル同時流行に備え新型コロナウイルスとインフルエンザが今冬に同時流行する「ツインデミック」への懸念が高まり、インフルエンザワクチン接種の重要性が増している。厚労省専門部会は26日、高齢者や医療従事者、妊婦、子供の接種を優先する案を了承した。WHOはインフルワクチンの接種を強く推奨している。医療現場の負担を減らし、自身や周囲を守るために、ワクチン接種でインフルの症状が悪化するのを防ぐ必要がある。(日本経済新聞8月27日)

 

<<エアロゾル感染「上」>>

 

エアロゾル感染が新型コロナウイルスの感染の大きな要因であるということが相次いで確認されてきました。今の感染防止対策の中にありますが、換気とマスク着用の大切さを今一度確認する必要があります。今後当分、このウイルスと向き合っていかざるをえませんが、その際にどこに力点をおくのか、どこはほどほどにしておくのか、それをはっきりしていかないと長続きしません。

エアロゾル感染について3回にわけ整理します。

 

WHOは7月9日、新型コロナウイルス感染について新たなガイドラインを示し、空気中を漂う微粒子「エアロゾル」を介した感染に関する報告を一部認めた。ただ、空気感染の可能性を確認するまでには至らなかった。最新のガイドラインでは、人が密集している屋内での感染を巡る報告を踏まえると、新型コロナウイルス飛沫感染に加え、エアロゾルを介して感染する可能性も示されていると指摘。医療施設のほか、合唱団の練習や飲食店、スポーツジムなどでのエアロゾル感染があり得るとした。

ただ、エアロゾルが感染に果たす役割について一段の研究が必要との認識を示した。(9日 ロイター)

 

ここで、エアロゾルは空気中の微粒子のことで、新型コロナウイルス感染者の呼気を通して放出されます。水分を含んだ部分はすぐに蒸発し、残った部分がマイクロ飛沫(飛沫核)として、空中を浮遊します。そのマイクロ飛沫の中に、新型コロナウイルスが含まれているということです。エアロゾル感染はいくつか定義はありますが、特に感染者の呼気から出るマイクロ飛沫が、小さくて軽いので数メートルの距離に飛翔し、数時間は浮遊し、密閉した空間では充満して、その中にいる人がそれを吸い込んで感染することを指します。なお、空気感染は基本的にエアロゾル感染と同じと考えられますが、エアロゾル感染より広範囲(数十から数百メートル)にマイクロ飛沫が浮遊し、拡散する場合を特に差すこともあるようです。

 

今回の新型コロナウイルスについて、WHOや日本の厚労省、国立感染研なども「飛沫感染接触感染はするが、空気感染はしない」と繰り返し主張し、それを受けて手洗いばかりを強調し、マスクは感染者が飛沫を防ぐために付けるもので、予防のためのマスク着用は意味がないと、予防マスク不要論を展開していました。

中国では、1月の段階で、エアロゾル感染が起きているという警鐘を鳴らしました。しかし、WHOも厚労省も感染研もその報告を無視して、エアロゾル感染を認めませんでした。

 

世界32カ国の感染症専門家239人は7月6日、新型コロナウイルスエアロゾル感染に関する可能性を示す科学的根拠のある報告書を公開しました。これを受けWHOはエアロゾル感染の可能性を認め、あらたなガイドラインを示しました。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は会見で、エアロゾル感染を示す確固たる証拠は多くないが、実際に起きていると考えるのが妥当だとしてうえで、症状がない人も含めマスク着用が重要だと強調しました。