歴史が面白い5 

日にちを進めていこう。

 

 1月28日 新型コロナウイルス感染症感染症法にもとづく「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」に指定する政令閣議決定した。これにより、感染が疑われる人に対する入院措置やそれに伴う医療費の公費負担が可能となった。

同日、国内初の二次感染とみられる渡航歴のない奈良県男性の感染が確認された。武漢からのツアー客を乗せた運転手だ。

三越伊勢丹では首都圏店舗の1階と地下1階の売り場でマスク着用を義務付けることした。

専門家のコメントとしては、「二次感染は想定、国内も感染拡大の可能性あり」(濱田篤郎)、「すでに感染拡大の可能性も」(押谷仁)、「不顕性・軽症感染者が比較的多いのではないか」(河岡義裕)、「しっかり対策すれば爆発的感染拡大が広がる可能性は高くない」(喜田宏(北大)、「三次感染、四次感染防止が重要、徹底的に濃厚接触者のモニターを行うべき」(尾身)。

 

 1月29日 武漢からの民間チャーター機の第1便が羽田に到着した。206人が帰国したが、発熱などの症状がある12人は入院し、症状のない人も2週間の経過観察の対象とした。191人は検査結果がでるまで国が用意したホテルに滞在するが、強制でないため3人は帰宅した。

大阪府は、府内で初めて確認された感染者ということから、感染者の行動歴を独自に公表した。40歳女性で武漢からのツァーのバスガイドであった。また、大阪府知事は同日の記者会見で厚労省の情報開示について不十分であると批判した。

このころから、マスクの不足が顕在化してきた。

 

 1月30日 WHOは新型コロナウイルスについて、「国際的な公衆衛生上の緊急事態」宣言した。テドロス事務局長は記者会見で、ウイルスの封じ込め対策や、感染者の早期検出、接触者の追跡といった対応を求めた。貿易や人の移動に関する制限は求めなかった。必要な支援が滞ることや、経済活動の影響を考慮した。これに対して、1月24日のWHOの会合で緊急事態宣言を見送ったため判断が遅かったとの批判も出ている。今回、慎重になった経緯については、疫学、環境医学に詳しい岡山大学の津田敏秀教授は「2009年の新型インフルエンザの宣言で空振りし、欧州議会で追及された苦い経験があるからではないか」とみる。経済面の影響が出ることも、判断に影響する。

また、緊急事態宣言にあたり、WHOは中国への配慮を最大限にじませた。宣言に拘束力はなくとも中国への経済的打撃は小さくない。会見した事務局長は、「社会的、経済的に深刻な影響があるにもかかわらず中国政府が卓越した対策を講じたことを称賛する」などとたたえた。WHOはエボラ出血熱をめぐる緊急事態宣言の判断が遅れ、国際的に批判された経緯がある。今回は発言力を増す中国に配慮しつつ各国に協調を求めるぎりぎりのタイミングとなった。

韓国・北朝鮮は南北連絡事務所の一時閉鎖を決定した。また、ロシアは中国との地上国境の通過を大幅に制限した。

政府は新型コロナウイルス感染症対策本部を設置した。そこで、安倍首相は「水際対策などのフェーズをもう一段引き上げていく必要がある」と発言した。

チャーター機の第1便帰国者のうち3人が感染と発表があった。そのうち2人は症状のない国内初の感染例であった。

 

 1月31日 米国が緊急事態宣言を出した。前日に中国全土への渡航禁止を発表しており、31日は中国訪問者の入国拒否を発表した。過去14日以内に中国を訪れた外国人に対して入国を禁止した。また、過去14日以内に湖北省を訪れた米国人に対し、帰国後14日間は隔離することにした。湖北省以外の中国を訪問した米国人にも、14日間は自宅などで待機することを命じた。米国の初動は迅速であったが、これでトランプ政権はいささか慢心したようだ。

日本も安倍首相は、湖北省に2週間以内滞在の外国人および湖北省発行旅券を所持の外国人は原則入国拒否すると発表した。さらに指定感染症に指定する政令施行を6日間前倒し2月1日とすることを閣議決定した。これは無症状の感染者が出てきていること

も踏まえた対応としている。

中国武漢市から第2便チャーター機で30日に帰国した210人のうち男性2人からウイルスが検出したと厚生労働省は発表した。いずれも無症状であり、無症状の感染者は第1便と合わせると4人となった。武漢在留の邦人149人を乗せた第3便も31日午前羽田に到着。第4便につても政府は週明け以降の派遣を検討している。

専門家のコメントとしては、日本でも不顕性感染者からの感染は否定できない(尾身茂)。

 日本時間1月31日午後11時現在の新型コロナウイルス感染者数

  中国    9692人  (死亡213人)

  日本      17

  タイ      19

  シンガポール  13

       香港      12

  韓国      11

  台湾      10

  オーストラリア  9

  マレーシア    8

  マカオ      7

  米国       6

  フランス     6

  ドイツ      6

  ベトナム     5

  アラブ首長国   4

  カナダ      2

  イタリア     2

  英国       2

  ロシア      2

  カンボジア    1

  スリランカ    1

  ネパール     1

  フィンランド   1

  フィリピン    1

  インド      1 

 

(コメント)

この時期の対応をしっかり検証する必要がある。まとまった公式な情報がない中、いろんな非公式なあやふやな情報が混在する中でどう判断すべきかである。歴史上の大事な岐路はすべてこのようなときに下される決断であり、動くか動かないかの判断である。最後はリーダーの決断になるが、専門家が選択肢を示すべきであり、示せられる質の高い専門家チームを立ち上げられるかが国の明暗を分けるとつくづく思う。