歴史が面白い9

新型コロナウイルについて、続けます。

 2月19日 クルーズ船の乗客の下船が開始した。クルーズ船は、2月3日に横浜港に帰港し、2日間の全乗客乗員に対しての健康診断が行われ、2月5日に陽性者が確認された。その日より14日間の検疫が開始され、2月19日に検疫は終了した。検査で陰性が認められた人の下船が開始されたのだ。陽性者との接触がある人は、最終接触日から14日間が隔離期間となる。この人たちは食事の配膳など生活支援に貢献していた乗員が大半を占めていた。

 

厚労省は、ウイルス検査で「陰性」であることが確認された乗客については、新型コロナウイルスに感染しているおそれはないことが明らかであることから、日常生活に戻ることができるとの考えを示した。ただ、下船後2週間は不要、不急の外出は控えるよう要請したが、日本人の乗客は下船したあと、公共交通機関を使って帰宅することになった。

 

岩田教授の動画に対して、2月19日夜、厚生労働省技術参与であり、岩田氏がダイヤモンド・プリンセスに乗船する前にやり取りをしたという高山義浩氏がFacebookで岩田氏への反論を掲載した。「クルーズ船の中はグリーンもレッドもグチャグチャになっていて、どこが危なくてどこが危なくないのか全く区別がつかない」との指摘に対して「実際はゾーニングはしっかり行われています。完全ではないにせよ・・・・」といった具合に。

 

この高山氏の投稿には岩田氏自身もコメント欄で反論されているが、岩田氏自身が公の場で高山氏との議論を望まないということからその内容は明らかにされていない。

岩田氏は「船内の感染管理の環境が大きく改善されたと聞いている。検疫の経過についての情報も公開され、私が投稿した動画の役割は達成された」とし、当の動画自体は削除済みとなっている。しかし、すでにBBCの取材や野党共同会派のヒアリングによる動など、その内容はいまでも知ることが可能である。

 

クルーズ船について、米CDCは「乗客は感染するリスクが高い状態に置かれていた」などと指摘。国内外で批判が相次ぐことに対して、菅官房長官は、「2月5日以降、感染を予防する行動を徹底し、乗客に自室で待機してもらうなど、感染リスクを下げた」などと述べ、政府としては最大限、船内の感染リスクを下げていたと強調した。

 

政府が感染防止が適切であったとの根拠の一つは、国立感染症研究所が19日に公表した分析だ。それによると、18日の段階で感染が確認されたのは、乗客と乗員を合わせて531人、276人に発熱などの症状が出た一方、255人は無症状だった。そのうえで、発症した日がわかっている事例を以下のように示した。6日(乗客15人、乗員1人)、7日(同29人、同2人)、8日(同16人、同2人)、9日(同19人、同5人)、10日(同7人、同3人)、11日(同11人、同7人)、12日(同5人、同7人)、13日(同8人、同8人)、14日(同1人、同4人)、15日(同0人、同1人)、16日(同0人、同0人)、17日(同0人、同0人)・・実際はグラフ。こうしたデータに基づいて、国立感染症研究所は、クルーズ船内で検疫が開始する前に、ウイルスの実質的な感染拡大が起こっていたと指摘した。感染者の数が減少傾向にあることから、5日以降、乗客を自室にとどめたことはなどが、有効な対応であったと評価している。

 

海外はチャーター機で国民を帰国した後、国内で帰国後14日間の隔離をしていた。

   米国     2週間、軍の基地

   カナダ    2週間、国内の施設

   韓国     2週間、国内の施設

   イスラエル  2週間、国内の病院

 

米国ニューヨーク・タイムズ紙は「日本がクルーズ船の乗客を自由にした。安全なのか?」として、船内での隔離期間に実効性がなかったと見なし、米国民を帰国させたあと、さらに2週間隔離していると伝えた。

 

海外のメデイアからは疑問や懸念の声が相次いだ。そして、その懸念は現実のものとなる。船内での検査が陰性とされ、下船した日本人の乗客の感染が、栃木県や徳島県、それに千葉県などで相次いで判明した。加えて、外国人の乗客も帰国後、感染が確認されるケースが相次いだ。オーストラリアでは1人亡くなった。

     

 

 

2020年2月6日から177日(同29人、同2人)、8日(同16人、同2人)日におけるクルーズ船乗員乗客の発症日別COVID-19確定症例報告数(n = 151)

  COVID DP Fig1