歴史が面白い161

令和2年11月23日

  <11月23日>

大阪・札幌、GO TO除外へ。政府の観光事業需要喚起策「GO TO トラベル」を巡り、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な大阪市と札幌市が対象地域から一時除外される見通しとなった。大阪府の吉村知事は23日に出演した読売テレビの番組で「大阪市内は(適用を)一時停止したい」と述べた。北海道も札幌市の一時除外容認を決めた。

利用者のキャンセル料を無料とし、国が事業者にキャンセル料を補填する。大阪府は24日に対策本部会議を開き、大阪市内への受け入れの一時除外を国に要請することを決める。一部の飲食店に対しては、27日から営業時間の短縮を要請する考えも明らかにした。吉村氏は「要請は15日間にしようと思っている」と話し午後9時までの時短営業を呼びかける考えを示した。対象エリアについては、大阪市の繁華街が中心となる見通しだ。時短営業に協力した事業者への支援について「1日2万円を15日間で計30万円、府と国で負担する」と話し、大阪市が上乗せを検討していると説明した。

日本経済新聞11月24日)

 

米、来月11日にも接種開始。米国で新型コロナウイルスのワクチン接種が早ければ12月11日にも開始される見通しだ。米政府でワクチン開発を指揮するチームのモンセフ・スラウイ首席顧問が米NBCなどのインタビューに答えた。米製薬大手ファイザーは20日、米食品医薬品局(FDA)にワクチンの緊急使用許可を申請した。現在は承認待ちで、FDAは12月10日にワクチンを承認するかどうかを議論する有識者会合を開く見通し。(同)

 

コロナワクチン 70%の効果確認。英製薬大手アストラゼネカは23日、英オックスフォード大学と開発する新型コロナウイルスのワクチンについて、臨床試験(治験)の最終段階で平均70%の効果が確認されたと発表した。同社は英国など各地の当局に申請し、早期の実用化を目指す。

アストラゼネカのワクチンは通常の冷蔵庫で長期保管でき、途上国も含めた供給に期待がかかる。21年に30億回分を生産する体制を整える。日本政府は1億2千万回分を調達する契約を結んでいる。(同)

 

重症者数、「第1波」超え厚生労働省は23日、新型コロナウイルスの全国の重症者が331人になったと発表した。「第1波」ピークの328人(4月30日)を上回り過去最多になった。増加の背景には感染者が中高年など幅広い年齢に広がったことがあげられる。重症者用の病床使用率も各地で悪化しており、医療提供体制への影響が懸念されている。(同)

 

GO TO除外の最終判断全国知事会は23日、新型コロナウイルス緊急対策本部を開き、政府への緊急提言をまとめた。感染状況が4段階の指標で2番目に深刻な「ステージ3」相当と判断した地域は、政府として「トラベル」から除外を判断するよう要望した。

一方、政府は都道府県知事に対し、感染拡大地域を目的地とする新規予約の一時停止を検討するよう求めている。事業者に影響が出る「最終判断」を巡り、政府と自治体に食い違いが生じている。

知事会としては、各都道府県が政府と連携してステージ3相当と判断するが、最終的には政府の責任で除外を決定すべきだとの立場だ。西村経済財政・再生相は、ステージ3に該当するかは都道府県知事が判断するよう求めていた。

飲食店への営業時間短縮要請を巡っても、両者の立場の違いが際立つ。(同)

 

米で実用化段階に新型コロナウイルス感染症の治療で本命とされる「抗体医薬」が実用化段階に入った。米社が開発中の新薬が相次いで米国内で条件付きで使用できるようになった。現在の治療薬の多くは他の病気向けの転用だが、抗体医薬は新型コロナの特化薬だ。近く一部接種が始まる見通しのワクチンとともに、コロナ克服への道を開く可能性がある。

「抗体医薬」は、コロナウイルスと結合し、無力化するたんぱく質「抗体」を薬として使う。回復した人の血液中の抗体などをまねて人工的に作る。主に軽症から中程度の患者向けとされ、早めの投与で重症患者も減らせると期待されている。

米食品医薬品局(FDA)は21日、米リジェネロン・ファーマシューティカルズが開発していた抗体医薬の緊急使用を認可した。

FDAはすでに、今月上旬に米製薬大手のイーライ・リリーの抗体医薬「バムラニビマブ」にも緊急使用許可を出した。

一方で抗体医薬の治験に関してのデータや評価はまだ出そろっていない。副作用も未知数だ。緊急使用許可が出た2つも最終治験を続けている。

もう一つの課題はコストだ。一般に抗体医薬は高額になりやすい。がん治療などで使用が進むが、日本の薬価ベースで1治療当たり数百万円かかることも多い。

米政府は緊急使用許可の間は、薬については患者の自己負担なしで提供する見通しだ。

(同)

 

(コメント)

GO TO トラベルの対象除外を巡り、政府と自治体でもめているが、どうやら一部除外の流れとなるようだ。重症者数が過去最多となり、待ったなしの状況だ。

 

一方、ワクチンや治療薬の実用化が目の前にきているという明るい見通しも出てきている。アストラゼネカも最終治験を終えて、これで日本政府が先端企業と契約を結んだ先すべてが出そろったことになる。菅首相が10日に約束した21年前半までに全国民にワクチンを用意するとの発言は今のところ射程に入ってきた。

日本政府が契約している量だが、ファイザーが6000万人分、モデルナが2000万人分、アストラゼネカが6000万人分ですべて足すと1億4000万人分だ。日本の人口をオーバーするのはうれしいことだが、途上国への配付なども考えているのだろう。それに開発2番手以降には日本企業も健闘している。一番手はアンジェスで21年の春以降の実用化を目指している。さらに塩野義製薬第一三共だ。

 

ワクチンや治療薬が日本で身近になるのはやはり21年の春以降だ。この冬はインフルエンザと新型コロナの感染拡大に対して、移動制限や飲食店の営業制限、マスク着用などの現行対策で乗り切るしかない。その際重要な指標は、重症者数の動向や病床使用率など医療崩壊につながるものだ。これに注視しながら、ゆるめたり、締めたりしていくのだろう。