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令和2年9月6日と次期政権の課題「PCR増やせず10年」

  <9月6日>

「仕事でコロナ」労災申請が急増労災保険の申請が急増している。5月の30件台から9月2日時点で1000件を超えた。このうち審査を終えた約500件について厚労省はすべて労災を認めた。新型コロナウイルスは様相が異なる。厚労省が認定手順を明確にし、決定を早める新方針を打ち出したのだ。(日本経済新聞9月7日)

 

「ただの風邪」市民も同調新型コロナウイルスノ感染者数・死者数とも世界2番目のブラジル。1日の新規感染者数は4万人、死者も千人に達する場合も少なくない。感染の収束が見えない中、ブラジルが選択したのは外出制限などの規制強化ではなく、早期の経済再開だった。「失業者の増加は不景気をもたらし、最後は病気や死へと導く」。大統領のジャイル・ボルソナは8月13日、経済再開の重要性を再び訴えた。8月13日に発表された最新の世論調査ではボルソナの支持率は37%と就任以来の最高を記録し不支持の34%を上回った。支持は5ポイント上昇し、不支持は10ポイント低下した。背景には国民の新型コロナウイルスへの危機感が薄くなってきたこともある。(同)

 

接待伴う飲食店新たな感染ゼロ。東京都は6日、新型コロナウイルスノ感染者を新たに116人確認したと発表した。このうち接待を伴う飲食店従業員らの感染は6月9日以来のゼロとなった。(朝日新聞9月7日)

 

避難所、定員超え相次ぐ。台風10号の北上を受け、住民への避難勧告・指示は6日午後7時時点で870万人に及んだ。新型コロナウイルス感染対策で収容人数が減り、満員となった避難所が相次いだ。各自治体は避難所の追加開設や、予定していた部屋以外の使用などの対応に追われた。今回の台風で各自治体は避難所だけでなく、ホテルや友人宅なども避難先の選択肢とする「分散避難」を呼びかけている。(日本経済新聞9月7日)

 

<<次期政権の課題 PCR増やせず10年(朝日新聞 9月7日)>>

 

2009年から流行した新型インフルエンザを受けて翌2010年、有識者らで作る国の総括会議は、次のパンデミックを見据え、提言をまとめた。

保健所やPCR検査体制の強化、情報を伝え意思疎通を図るリスクコミュニケーションができる広報体制の強化が主な内容だった。

 

それから10年。提言が置き去りにされていたことが浮き彫りになった。新しい病原体を大量にPCR検査することを想定した体制はつくられず、検査数を増やせなかった。発熱してもPCR検査が受けられない。入院先が見つからない。今春、そんな患者が相次ぎ、自治体や医療現場で混乱が広がった。

 

「3密を避けて」「新しい生活様式を」。感染症の専門家らでつくる専門会議は政府に先んじ、国民にメッセージを発信した。すると、誰が政策を決めているのか分からない、と批判も出た。岸本充生大阪大教授(リスク学)は言う。「政策を決める際には、どんな選択肢があって、なぜそれを選んだのか、政府側が根拠をきちんと説明せねばならない。今のままでは、過程が見えず、後から評価することもできない。」

 

政府は7月22日、感染者が急増した東京を除外し、観光振興策「GO TO トラベル」を始めた。しかし、その時点で東京以外の都市も感染は広がっていた。感染を抑え込むならば、流行地との往来の回避は基本中の基本だ。だが、経済に壊滅的なダメージを与えたと批判された政府は、人との接触減を呼びかけた緊急事態宣言中から一転、経済重視に舵を切った。

感染拡大を抑える必要性を訴えながら、一方で人の流れを後押しする政策を掲げる。矛盾をはらんだ政府の方針に翻弄されたのは地方だ。沖縄県は7月末、外出自粛や来県に慎重な判断を求める緊急事態宣言を独自に出した。

 

磯部慶応大教授(行政法・医事法)は「多少感染してもいいから経済を回すのか。県をまたいだ移動はしないほうがいいのか。どちらなのかわからない。東京だけ除外された判断基準も理解できなかった。政権は国民に説明する責任があったはずだ」と指摘する。

 

(コメント)

ブラジルの話はいいかどうかは別にしてやりたいことは明快で大統領が一貫して主張している。中国にしろ独裁的な政治をしているところは、危機的な状況では強権でことを進めることができ、すっきりするように見えるがこれは危険である。往々にして弱者は切り捨てられやすい。民主主義は意見の集約に時間がかかるが、議論の過程でマイナス面も考慮した上での決断ができる。場合によって切り捨てられた面がはっきりし、つぎの議論にもつなげることもできる。よって民主主義の社会においては、決断に際しての説明が欠かせない。日本では今回の件でもやはりいつもの風景のような気がする。民主的なプロセスは踏もうとするが、肝心な決断はいつも不透明であると言わざるを得ない。