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令和3年3月3日

  <3月3日>

緊急事態4都県再延長菅首相は3日、新型コロナウイルス対策として東京と埼玉、千葉、神奈川の1都3県に発令中の緊急事態宣言について「2週間程度の延長が必要ではないか」と述べ、7日までの期限を再延長する考えを表明した。首相官邸で記者団に語った。政府は5日、専門家でつくる基本的対処方針等諮問委員会の意見を聞いた上で、延長幅を正式決定する。(読売新聞3月4日)

 

首相、世論にらみ急旋回菅義偉首相は3日、1都3県への緊急事態宣言を延長する方針を表明した。当初は7日までの宣言期限までで解除する考えだったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止を求める世論をみて急旋回した。東京五輪パラリンピック衆院選を控え、政策運営上の安全策を選んだ。(日本経済新聞3月4日)

 

感染なお、変異型も警戒。緊急事態宣言が発令中の1都3県の新型コロナウイルスの感染状況を示す指標は政府が解除の目安とする「ステージ4」を脱却しているが、感染水準がなお高いことや、国内で感染が相次ぐ変異ウイルスへの懸念が宣言延長の判断の背景にあるとみられる。

政府の分科会は解除の判断にあたって「ステージ4」からの脱却に加え、「ステージ2」への改善が見込めることを求めており、こうした点も重視したとみられる。(同)

 

五輪海外客 見送り論。今夏の東京五輪パラリンピックを巡り、海外からの観客受け入れを見送る可能性が出ている。丸川珠代五輪相は3日夜、大会組織委員会橋本聖子会長や国際オリンピック委員会のバッハ会長らを交えた5者協議後に記者団の取材に応じ、「慎重な判断が必要だ」と述べた。新型コロナウイルスの収束が見通せず変異ウイルスの拡大も続き、日本側は厳しい判断を迫られる。(同)

 

米、接種加速へ強力関与新型コロナウイルスの封じ込めに向け、海外ではワクチン接種に政府が強力な権限を行使し始めた。米国はバイデン大統領が国防生産法を使ってメーカーの生産協力を実現し供給の前倒しに動く。インドはワクチンで世界最大の生産能力を使って新型コロナ向けも量産を進め、アラブ首長国連邦は中国製ワクチンを大量調達する。

バイデン大統領は米ジョンソン・エンド・ジョンソンがワクチン生産を加速するため、米メルクが協力すると発表した。バイデン大統領はライバル同士が組む今回の提携を「第2次大戦下で見られたような企業間の連携だ」と強調した。(同)

 

(コメント)

医療提供体制が緊急事態解除の足かせになっている。

前日に続き 特集「コロナ医療の病巣②」(日本経済新聞3月4日)をみる。

 

『機器があっても扱える医師がいない。

重症患者の治療に使うECMOは昨年2月時点で全国で1412台あったが、同時に使えるのは300台程度。扱える専門知識と経験がある医師が少なかったからだ。

緊急事態宣言が発令された昨年4月、厚生労働省は緊急対策としてエクモの研修事業を盛り込んだ。当面800台の同時稼働を可能にすべく人材育成を急いだ。今年2月までに研修を受けた医師などは約2千人を超えた。

だが、エクモが3台ある東京都内の大病院の院長は「人手が足りず同時稼働は2台が限界」と明かす。今なお機器があっても使えない病院は多い。

日本集中治療学会「エクモネット」竹田晋浩代表は「他病院を指導できる医師がいる中核病院などにエクモを使う施設を集約する必要がある」と指摘する。

 

人口100万人当たりのコンピューター断層撮影装置(CT)は約100台、磁気共鳴画像装置(MRI)は同約50台でいずれも世界一。高額の最新機器を導入する施設が増えても、画像から異変を見抜く専門の読影医がいない施設も少なくない。検診などで撮影した画像の「見逃し」が発覚する事例も相次いでいる。

国家試験の合格数のみで数を調整し、地域ごと、診療科ごとに何人必要なのか、という調整機能がない。

日本経済新聞が首都圏4都県を調べたところ、ICUがある142病院のうち、1割弱が集中治療や救急科の専門医が不在。とくに集中治療専門医が少ない。米国2万9千人、ドイツ約8千人に対して、日本は2千人。

 

亀田総合病院の林淑朗・集中治療科部長は「日本は臓器別の診療科の権限が強い」ことが背景にあると指摘する。ICUに入院した患者も各診療科の主治医せが診る病院が多い。「縦割り」の体制では「横断的な技能が必要な集中治療の専門医が育ちにくい」(林部長)

欧米では各診療科と連携しつつも、ICUでの治療は集中治療の専門医が中心となる方式が主流だ。

日本は数床のICUしか持たない病院が多い。1970年代に「一流病院の証し」として小規模なICUを持つ病院が乱立したためだ。

 

看護師不足に陥った日本看護協会は昨年4月と12月、都道府県ナースセンターに登録している約5万5千人の看護師にメールで復職を呼びかけた。これまでセンターを通じて復職したのは2月下旬時点で約2800人にとどまる。働く看護師約160万人に対し、潜在看護師は数十万人上るとされる。

日本看護協会の熊谷雅美常任理事は「結婚などで離職する人が多いのに潜在看護師を把握する仕組みがない。研修など復職しやすい支援を十分できていない」という。「夜勤など働き方改革も遅れている。復職しやすい環境を整える必要がある」と指摘する。』

 

そしてまとめとして、

『高齢化が進む日本では手術が必要な患者は減少し、生活習慣病など慢性疾患の療養病床が不足する。新型コロナで不足したからとむやみにICUなどを拡充すればミスマッチが広がるだけだ。

医療資源の育成、配置の適正化には、医師や医療機関を役割別に集約するなど効率的な医療提供体制への変革が不可欠だ』

としている。

 

新自由主義的な考えで進められてきた日本の医療制度の弱さが露呈している。普段の環境では効率的で問題は露呈しないが、コロナなどパンデミックになると硬直的で柔軟な対応がとりずらい。

命の問題に直結する医療制度は、ある程度医療資源の適切な配置を考慮に入れた政策を進める必要がある。記事にもあったが、いざというとき必要になる専門医や先進機器は

集約することが必要である。それには公的病院を拡充する方向だ。これは今までの国の政策と逆行する。今回のコロナの反省にたって方向転換してほしい。