歴史が面白い262

令和3年3月4日

  <3月4日>

ワクチン変異型対応急ぐ新型コロナウイルスの感染拡大の抑制に向けて、変異型の対応が焦点になってきた。変異により現在接種が始まったワクチンの効果が弱まる可能性があるからだ。緊急事態宣言を延長する日本も変異型への警戒を強める。製薬各社は変異型に対応したワクチンの開発を急ぐが、感染の拡大を抑制できるか確証はまだ得られていない。

中でも最も感染力が高いとされるのが南ア型だ。この変異型はワクチンの有効性を弱める可能性がある。米ノババックスのワクチンは英国での有効性が89.3%だったのに対し、南アでは60%だった。米ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンも米国での有効性は72%だったが、南アでは57%だった。米モデルナや米ファイザーなどのワクチンも、南ア型では防御効果が下がるとの実験結果が出ている。(日本経済新聞3月5日)

 

感染対策継続 都民7割支持。東京都は4日、新型コロナウイルスの感染状況や医療提供体制を評価する「モニタリング会議」を開き、都民を対象にしたアンケート結果を公表した。感染対策の継続を支持する人が7割に及んだ。都内では新規感染者数の減少ペースが鈍化しており、一層の感染防止対策が必要だ。(同)

 

二重マスク 効果は限定的理化学研究所は4日、スーパーコンピューター「富岳」を使い、マスクを二重に着けた場合に飛沫の拡散をどれだけ防げるかシミュレーションした結果を発表した。不織布マスクを正しく装着すれば、その上からポリウレタン製のマスクを着けても飛沫を防ぐ効果はあまり上がらなかった。(同)

 

独、コロナ制限緩和へ。ドイツのメルケル首相は3日、新型コロナウイルスを封じ込めるための制限措置の緩和を段階的に進めていく方針を発表した。8日から書店などの

営業を認め、さらに人口10万人あたり7日間の感染者数が50人を下回れば、ほかの昇天の営業も地域ごとに認めていく。経済再開を求める声が高まるなか、基準を緩めにした形跡があり、感染が再拡大する懸念も残る。

制限緩和を支えるのはワクチン接種の加速と検査だ。検査結果がすぐに分かる抗原テストを市民が週に1回、無料で受けられるようにして、経済の再開と感染の抑制の両立を狙う。(同)

 

欧州高齢者 ワクチン効果。昨年末から新型コロナウイルスのワクチン接種を進めている欧州の国々で、高齢者の感染者数が下がるといった効果が表れ始めた。国民全体の接種率は1割に満たない国が大半だが、老人ホームなどの入居者を優先接種してきたためだ。

AP通信は3日、スペインの高齢者施設で新型コロナウイルスに感染した人が、1月から2月にかけて95%減少したと伝えた。政府機関が2日に公表した報告書で明らかになったという。

同様の効果はベルギーでも確認された。英国では入院の予防効果が出たことが確認された。イタリアやフランスでも2月以降、高齢者の感染率が下がり、入院者に占める75歳以上の人の割合が減るといった効果が確認されている。(朝日新聞3月5日)

 

 

(コメント)

緊急事態宣言を延長する事態になったのに、その間の対策が明確に示されてはいない。

国民の自粛の呼びかけが対策となっている。

特に病床確保が対策に上がるはずだが出てこない。

 

特集 コロナ医療の病巣(日本経済新聞3月4日)

『政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が今年2月までに25回開催されているが、議事次第に「病床確保」が上がったことがない。感染拡大防止だけでなく受け皿を大きくすることが対策の二本柱だったのに、なぜ病床確保が議題にならなかったのか。

 

答えは昨年7月に開かれた第1回分科会の資料にある。「医療体制整備の再構築に当たっての基本的な考え方」として「都道府県が主体となって推進し、達成することを基本とする」と明記している。「『司令塔』は国ではなく知事」という整理が背景にある。

厚生労働省幹部は「病床確保は感染症法などに基づき一義的に知事の権限。国は調整・支援する立場」と説明するが、国の支援策について分科会で議論が深まることはなかった。

司令塔を託された知事の権限や対策も十分だったとは言いがたい。

大阪府の吉村知事は公立の大阪急性期・総合医療センターの駐車場にプレハブで最大60床の重症センターを急造した。東京都の小池知事も旧都立府中療育センターを改修して中等症・軽症用に100床の受け皿をつくった。だが新たな施設は人員確保に苦戦を強いられ、目標通りに稼働できない事態を招いた。病院などに協力を求めても、新たに施設に応援を出す余力は乏しかった。

人口あたり感染者数が日本より桁違いに多い欧米では、大病院が数十~百床単位で新型コロナ患者を集中的に受け入れ、効率的に対応している。

2月施行の改正感染症法で知事が病院に病床確保を勧告し、従わない場合に病院名を公表できる規定も設けられた。「強権」発動はあくまで最後の手段。医療機関の役割分担や病床機能の調整がより求められる。

コロナ前から政府は医療体制の構築を地方に委ね、地方も権限も持たないまま機能不全に陥っていた。平時にできていなかったことが非常時にできるはずもなかった。』

 

 

病床確保は医療体制整備が地方にあるので知事の仕事であるが、実質的な権限はなく、お願いベースの権限しかなかった。民間病院にとって病床提供は経営の根幹にかかわるので、即座においそれとはいかなかったということだ。

民間病院が果たしてきた役割など歴史的な経緯もあるので、この問題はすぐには解決はできない。今回のような非常時に対応が柔軟にできないという問題を、なぜできないのかということを国民全員で共有し、解決の糸口をさぐっていくことがまず求められる。

なぜなら、分科会のメンバーの東京財団政策研究所の小林慶一郎研究主幹でさえ、なぜ分科会で議論しないのかわからなかったという。解決の障害となることが分からないといつまでも手を付けられない。