コロナウイルスが世界規模の感染になりつつある。
2月25日 米国CDCのメッソニエ博士が「コロナウイルスが米国全土に拡散している可能性がある」と警告し、学校閉鎖や集会の取りやめの必要性についても言及した。
政府は感染症対策の基本方針をとりまとめた。今の状況を「現在国内の複数の地域で感染経路が明らかでない患者が散発的に発生し、小規模な患者の集団が把握されています。まさに今が今後の国内での健康被害を最小限に抑える上で極めて重要な時期であります。」と捉え。基本方針として「一つの患者の集団が、次の集団を生み出すことを防止する。患者の増加のスピードを可能な限り抑制するとともに今後の患者の増大に備え、重傷化対策を中心とした医療提供体制などの整備を進めてまいります。」としている。そして、現時点で全国一律の自粛要請は行うものではないとしている。
文部省からは、学校での感染者が発生したとき、周辺地域の学校も積極的に休校を検討するように要求された。
スポーツ関係では、Jリーグが26日から3月15日まで予定されていた公式戦を延期すると発表した。
2月26日 ブラジルでイタリアからの帰国の男性が陽性、南米発の感染者となる。
北京など中国各地で日韓からの入国者に対する隔離措置がとられた。
韓国は、中国に続いて感染者が1000人超となる。
安倍首相は、前日の基本方針で大規模イベントの一律の自粛要請は求めずとしていたが、大規模イベントの自主的な自粛が相次いだことで、政府方針を一転し、多数が集まるイベントの自粛を主催者に要請した。
韓国はテグ市(大邱市)とチョンド郡(清道郡)を入国拒否対象地域に指定した。これは中国以外では初めてのこと。
北海道教育委員会は道内公立小中学校を臨時休校にするよう市町村教育委員会に要請した。
同日、五輪大会組織委員会はイベント実施にあたっての対処方針を発表した際に、事務総長は五輪は予定通りの開催が前提であると発言。
専門家のコメントとしては、「軽症者は原則自宅療養を。重症化の兆候が現れたら、相談センターに連絡、指定された病院で受診。」(押谷仁)
2月27日 WHO事務局長は韓国、イタリア、イランの感染拡大に懸念表明。韓国、イタリアと並んで、感染拡大の舞台となったのはイランである。マースーメ・エブテカール副大統領をはじめ政府高官が次々と新型コロナに感染していることが明らかになった。国会議員が20人以上も感染し、死者まで出ていた。毎年何百万人ものシーア派信者が訪問する聖地ゴムで感染が起きたが、現地宗教幹部は閉鎖を拒否し、これを最高指導者ハメネイ師が追認したこともあって、感染が拡大し、政権幹部にも感染者が出る混乱状態となった。
WHOは無症状者のマスク使用に否定的な見解を発表した。これは、新型コロナ以前に知られていた呼吸器感染症(咳などの飛沫から広がる感染症)は症状が出てから感染性が出るという原則に則ったものであるが、後日これを否定するコメントも出している。それは新型コロナウイルスは、発症前の無症状の人からも感染し、たとえば会話からも感染するとわかったからである。
安倍首相は、3月2日から春休みまで全国一律の休校を要請した。首相の説明はつぎのとおり。
「北海道では、明日から道内全ての公立小・中学校が休校に、また、千葉県市川市でも、市内全ての公立学校が休校に入ります。このように、各地域において、子どもたちへの感染拡大を防止する努力がなされていますが、ここ1、2週間が極めて重要な時期であります。このため、政府といたしましては、何よりも、子どもたちの健康・安全を第一に考え、多くの子どもたちや教職員が、日常的に長時間集まることによる感染リスクにあらかじめ備える観点から、全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週3月2日から春休みまで、臨時休業を行うよう要請します。」 厚労省は、保育所は首相要請の対象外で、小学生を放課後に預かる放課後児童クラブ(学童保育)も原則開所してもらうよう各都道府県に通知した。
(コメント)
学校の一斉休校要請は専門家の意見も聞かずほぼ首相独断で決めたようだ。世間にインパクトを与えたことは間違いないく、感染症にこれから備えていくという意識付けには
意味はあったと思うが、大きな犠牲を払うことになった。唐突であり十分な説明がされたとは思えない、日本らしい困ったときの政策の急展開のパターンで禍根をまた残した。