歴史が面白い18

令和2年3月14日~3月17日

  <3月14日>

安倍首相は、記者会見に臨み、13日に成立した改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言については「国内の感染状態を踏まえれば、現時点で出す状況ではない」と指摘した。

ウイルスの検査体制については、3月中に1日8000件を実施できるように増強する方針を明らかにした。

また、東京五輪については予定通り開催に意欲をみせた。

 

  <3月15日>

米連邦理事会(FRB)は15日、緊急の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開いて、1.0%の大幅利下げに踏み切った。政策金利は0~0.25%となり、2008年の金融危機以来のゼロ金利政策を敷いた。米国債などを大量に購入する量的緩和政策も復活させる。金融政策を全面的に危機対応モードに切り替え、新型コロナウイルスによる経済の混乱を迎える狙いだ。

 

  <3月16日>

ニューヨーク株急落2997ドル安、下げ幅過去最大。世界の株式の動揺が止まらない。信用収縮により企業の資金繰りリスクも懸念されている。各国の金融当局が金融緩和政策の強化を打ち出したが、投資家の不安は収まらない。新型コロナウイルスの感染拡大による世界景気の悪化が長期化するとの懸念が市場を覆っている。

ニューヨークに先立ち日本の16日の株式市場も投資家の動揺が収まらず、429円01銭の下落となった。

 

WHOは中国以外の感染者数および死者数が中国を上回ったと発表。テドロス事務局長は「この1週間で感染が急速に広がった」と危機感を示し、各国に検査を徹底することを求めた。

 

欧米一斉に入国制限。欧州委員会は16日、EU域外から域内への不要不急の移動を制限する計画を加盟国に示した。カナダもロシアも同日に入国制限措置を発表。中南米も含めると、30か国以上が入国制限をする異常事態となった。

 

安倍首相はG7首脳テレビ会議で、東京五輪の完全な形の開催について支持を得たと記者団に語った。「人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証として、東京オリンピックパラリンピックを完全な形で実現するということについて、G7の支持を得た」と述べた。トランプ大統領は、今夏開催について「安倍晋三首相の努力を支持する」と表明した。

 

  <3月17日>

米、1兆ドル経済対策案。トランプ政権は新型コロナウイルスによる経済不安を抑えるため、1兆ドルの景気刺激策の検討に入った。現金給付・給与税減税免除やボーイングなどの支援もふくむ考えだ。

 

ニューヨーク株式は反発し、1048ドル高い2万1237ドル38セントで取引を終えた。朝方はダウ平均が2万ドルを下回る場面があったが、FRBが企業の資金繰り支援でCP購入を発表したほか、トランプ政権も家計への現金給付プランを公表するなど矢継ぎ早に政策を打ち出す姿勢が市場の懸念を和らげたようだ。

 

フランスのマクロン大統領は、17日正午から15日間の全土で外出制限すると発表。違反者は処罰するとして、「我々は(ウイルスとの)戦争状態にある」と語った。外出制限は欧州ではイタリア(10日)、スペイン(13日)に次ぐ。

 

IOCは17日臨時理事会で、従来通り開催に向けた準備を進めると公式声明。

「大会の4カ月前に抜本的な決定をする必要はない。現時点での憶測は非生産的だ。」との声明を発表した。五輪開催の決定権はIOCにある。

五輪組織委員会は、26日から始まる聖火リレーについて、密集を避けて聖火リレーを観覧するよう要請した。

 

第7回専門家会議で、欧州や東南アジア、エジプトなどからの入国者を対象に2週間の健康観察実施を厚生省に求める。最近、海外からの移入との関連が疑われる事例が急増しており、3 月 4 日から 3月 15 日までの間で 46 例、同期間内における国内陽性例の約 1 割を占める状況であり、直接移入した事例も 38 例に上っている。特に、ヨーロッパ諸国、東南アジアやエジプトからの移入が疑われる事例が 3 月 10 日以降増加しており、3月 19 日(木)には専門家会議の見解を発出する予定であるが、その前に帰国者お
よび訪日外国人対応を至急開始する必要がある。これを受け政府は18日に開く対策本部で安倍首相が欧州など38か国を入国制限の対象に加えることを表明することとした。

 

(コメント)

株の下落がさらに続いたが、米国の対応が早かった。利下げと1兆ドルにのぼる経済対策を矢継ぎ早に出してきた。1兆ドルの経済対策はさすがに成立をみるまで全面的に受け止められないが、市場の動揺は止まり一部反発もされた。危機対応のシナリオがあらかじめ関係する首脳陣に共有されていたのだろう。

オリンピックの開催の可否が決まらない。決断はIOCだが、利害関係者が多くその調整に手間取っているのだろう。日本は自分から言い出せず、世に向けて観測的な発言を繰り返しているだけだ。