歴史が面白い26

令和2年4月8日~4月12日

  <4月8日>

武漢封鎖を解除。中国当局は8日、湖北省武漢市で事実上の都市封鎖を2カ月半ぶりに解除した。国内の航空路線や高速鉄道が再開した。

 

世界で新型コロナウイルス感染による死者が8万人超となった。感染者数は150万人を超えた。

 

接触8割削減に向けて。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言で「他人との接触を8割削減する」目標が打ち出され、東京都など7都道府県で8日、外出自粛措置が始まった。

英国の研究グループが打ち出した政策と狙いは同じで、患者の爆発的増加を食い止める唯一の方法だ。英国インペリアル・カレッジ・ロンドンの専門家チームが3月半ばに発表した論文が戦略決定に大きな影響を与えている。政策の強さに応じ「介入なし」「緩和戦略」「抑制戦略」の3つを提示。介入なしは、国民の多くが感染に対する免疫をもつまで放置する考え方。緩和戦略は、リスクの高い70歳以上の高齢者を優先して守りイベントを自粛するなど流行を緩やかに抑え、抑制戦略は他人との接触を減らし学校閉鎖など厳しい対策をとる。

英国政府は当初、厳しい行動制限はせず経済的な影響をできるだけ抑える対策でのりきろうとした。しかし感染者や亡くなる人が続出し、ジョンソン首相が感染する事態に陥った。「対策を取らなかった場合、8月までに約51万人が死亡する」と予測したこの論文が一気に戦略転換を促した。医療崩壊を起こさないためには抑制戦略を採用するしかなく、その場合「死者を8700~3万9000人にとどめられる可能性がある」と指摘した。その前提条件が「接触を減らす割合は75%」だった。

日本もこの戦略が必要と判断した。これまでの調査から感染者1人が他の人にうつす人数は2~3人といわれている。これを1人以下にすれば急速な感染拡大を抑え込める。

1人の患者が2.5人にうつすと仮定して計算すると、削減の割合は6割という数字が出る。北海道大学の西浦教授は厚労省クラスター対策班の公式ツイッターで「社会全体で感染を防止するため、より大きめの8割に設定した」し解説している。

 

  <4月9日>

IMFのゲオルギエバ専務理事は9日、「新型コロナウイルスで、2020年の世界経済は大恐慌以来のマイナス成長になる」と指摘した。世界経済は8兆ドルの財政出動を用意しているとし、21年には「部分的に持ち直す」と主張した。IMFは14日に世界経済見通しを改定する。

 

国内の新型コロナウイルス感染者が5000人を超えた。新たに感染が確認されたのは529人と一日当たり最多となった。東京で181人、大阪で92人である。

 

  <4月10日>

東京都の小池知事は、10日の記者会見で11日から5月9日まで休業要請をする。

娯楽施設や要請に大学、劇場などが対象。実効性を高めるため要請に応じた中小の事業者に1店舗当たり50万円の「協力金」も給付する。飲食店には休業は要請しないが営業を午前5時から午後8時とし、酒類の提供は午後7時までとする。

 

オンライン初診、13日から。厚労省は10日、新型コロナウイルスの院内感染を防ぐため、初診患者へのオンラインや電話での診療が週明けの13日から始まると発表した。新型コロナウイルスが収まるまでの期間限定で、医療機関の受診歴の有無にかかわらず認める。公的医療の対価として診療報酬は2140円とし対面の時に比べ4分の3となる。

 

WHO 2次感染、患者の2割から。WHOの緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は10日、記者会見で、日本の新型コロナウイルスクラスター調査から、患者の2割からしか2次感染を起こしていないことが分かったと説明した。ライアン氏は「日本はクラスターを非常に体系的に調査している」と評価した。日本は患者の隔離や寛政経路の追跡などができており、「感染がどのように広がるか、有益な情報を多く得た」と語った。

 

  <4月11日>

出勤7割減、7都道府県で。安倍首相は11日、緊急事態宣言の対象7都道府県の全事業者にオフィス出勤者を最低7割削減するよう要請した。また、全国の繁華街で接客をともなう飲食店への出入り自粛も呼びかけた。

 

救急医療「危機的状況」。日本救急医学会と日本臨床救急医学会は11日、新型コロナウイルス感染症の対応で救急医療体制が危機的状況にあり、他の救急患者の治療に支障が出ていると指摘する声明を出した。発熱や呼吸器症状を訴える患者を受け入れる病院が少なくなっており、肺炎の疑いのある患者は救命救急センターで受け入れざるを得ないと指摘した。

 

死者数で米国が2万人を超え、世界最多に。

 

英国ではエリザベス女王が11日、イースターの12日を前に音声メッセージを公表した。「われわれが新型コロナウイルスに負けないことは分かっている」と強調した。女王は、5日にも異例の特別演説を発表。国民に外出規制などを守るよう「自制と覚悟」を求め、難局を乗り越えるため精力的な発信を続けている。

 

  <4月12日>

韓国 回復後に再陽性111人。韓国の保健当局は12日、新型コロナウイルスの感染者で、いったん回復してから再び陽性と診断された人が111人に上ると発表した。体内のウイルスが再活性したか、新たに感染した可能性があるという。

 

英国首相が退院。英政府は12日、新型コロナウイルスに感染して治療中だったジョンソン首相が退院したと発表した。

 

(コメント)

8割削減の目標が出された。これは都市封鎖でもしない限り到底達成できない目標だ。英国の75%と整合性のある数字だ。しかし英国は当初、集団感染のような対応をとった経緯があり、状況は異なる。政府の危機対応として、科学者が単にシミュレーションの結果を説明するだけの記者会見はいかがなものか。科学者は科学に裏付けられた選択肢を示し、それを政治家が国全体として総合的に実現可能な形で提示していく。そうしないと、このような未曽有でかつ不確かな危機のなかでだれがどう対応したか、結果とその責任など後で日本として検証できない。