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令和2年9月3日とPCR検査「番外」

  <9月3日>

病院経営 来月以降も支援厚労省新型コロナウイルスで経営に打撃を受けている医療機関を支援する新たな対策を来週にも取りまとめる。患者の発生に備えて入院ベットを空のまま確保する病院に支援金を支払う仕組みを10月以降も続けるなどが柱。財源として2020年予算の予備費を使い、都道府県への交付金を追加する。(日本経済新聞9月4日)

 

 

コロナ分析 カルテの壁新型コロナウイルスの感染が拡大する中、治療法の検討に不可欠な症例分析が進まない。入力作業が煩雑でデータが集まりにくいうえ、電子カルテも病院や診療科ごとに表記がバラバラで、そのままでは使えないからだ。宝庫といわれる症例データ活用は進まず、今後の対策に影を落とす。

要因と見られるのが作業の煩雑さだ。項目数は491で、個人情報に配慮しながら慎重に打ち込む必要がある。「1つの症例につき、入力が30分~1時間かかる」と国際医療センターの大津洋臨床疫学研究室長は話す。AIは開発段階で使える精度に達していない。(同)

 

 

<<PCR検査 「番外」>>

 PCR検査についての整理は数日前に行ったが、9月4日の日経新聞にPCR検査の特集記事が載せられたので、追加の情報として述べたい。

 

記事は「増やせぬ検査 背景に4課題」とし、

 ①対象どこまで拡大・・・・・日本は「有症状者」中心

 ➁能力どれほど違うの・・・・拠点数、米国の50分の1

 ➂費用負担の原則は・・・・・公費でカバー広がる

 ④「時短」手法どう普及・・・抗原・唾液の利用カギ

を上げられている。主要な論点は以前の私の整理とかぶるので、今回の記事で紹介されている海外の事例を整理したい。

 

①の対象では、米国は州により異なるが、感染者が多く出たニューヨーク州では医師の判断を必要としない。高齢者施設の従業員に定期検査を義務付ける。

ドイツは原則、医師が必要と判断した場合に検査するが、病院や介護施設で働く人も対象にする。10万人あたりの1週間の新規感染者が50人を超えるなどの条件に達した「流行地域」は全住民検査や無作為抽出による大規模検査を行う。ドイツの条件を東京に当てはめると都内だ一日約1000人の新規感染者が出る状態に相当する。都で感染者が最も多かったのは8月1日の472人であるが、そもそも日本には基準がない。

英国は濃厚接触者でも自己隔離を求めるだけで無症状なら検査しない。一方で介護施設では施設内の感染者の有無にかかわらず、入所者や職員の定期的検査を認めている。官公庁職員やインフラ企業の従業員など社会機能の維持に必要なエッセンシャルワーカーにも手厚い検査体制を敷く。

日本においては、政府は8月28日公表の「政策パッケージ」で流行地域の医療・介護施設の入所者や職員も検査の対象に加えた。高齢者や持病のある人が本人希望で受ける検査を国が支援する方針も示し、制度設計中だ。

 

②の能力では、米国では政府系のメディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)が認定した臨床検査室は全米で約25万か所あり、その場でPCR検査や簡易検査が受けられる場所もある。医療従事者の中から検査に対応できるボランティアを募り、民間の研究機関と提携することで検査件数を増やした。

ドイツも大学病院や研究機関などの機器や人員を総動員し、数百の民間研究機関の人員を動員し検査能力を確保した。3月の約3週間で1日約7000件から同10万件に急拡大できた。

韓国では兵役の代わりに地方の保健所などで医師として服務する「公衆保健医」を活用し、人員不足を回避する。

英国も宅配便で自宅に検査キットを配送、収集する仕組みを取り入れ検査を効率化している。

 

➂の費用負担では、米国は多くの場合、検査費用は公的負担や保険でカバーされ、原則として自己負担はない。

ドイツも健康保険が費用を負担し、症状の有無にかかわらず無料で検査を受けることができる。

韓国は健康保険と国と自治体が共同で負担する仕組みだ。

④については海外の事例紹介はない。