歴史が面白い105

令和2年9月27日

  <9月27日>

世界各国・地域の新型コロナ感染者数(死者数)-----9月27日

 

世界全体 32,844,146人(994,208人)・・・3.0%

 

米国    7,078,798(204,497)・・・・・2.9%

インド   5,992,532( 94,503)・・・・・1.6%

ブラジル  4,717,991(141,406)・・・・・3.0%

ロシア   1,138,509( 20,140)・・・・・1.8%

コロンビア   806,038( 25,296)・・・・・3.1%

 

日本       81,241(  1,549)・・・・・1.9%

 

 

 

(コメント)

 

最近までの感染者の状況については、日経サイエンスの「COVID-19見えてきた治療薬(2020年11月号)」にまとめられているので、それを参照する。

日本はこれまでに3~5月と6~8月の2度の流行を経験した。3~5月の第1波では、全国で一斉に流行が起きた。国立感染症研究所が感染者のウイルスのゲノム配列を調べると、欧州で確認されていたウイルスと非常に近く、全国各地で様々な変異のパターンが見られた。欧州から日本各地へウイルスが何度も持ち込まれ、様々な地方で感染の連鎖が同時に進んだのち、3月下旬に一気に流行が顕在化したとみられる。

 一方第2波は、日本が事実上鎖国状態にあるなかで発生した流行だ。初めのうちは東京都内を中心とした局所的な流行が続き、次第に各地へ感染が広がった。感染研は第2波の感染者についてもウイルスのゲノム配列を解析している。欧州のウイルスに近いのは第1波と同じだが、今度は全国各地のウイルスで共通の変異が確認された。第1波で日本に持ち込まれた欧州由来のウイルスは、国内で変異を繰り返し様々な配列のものが生まれたはずだ。しかし、第2波ではそのなかの1種類が全国に広がった。第1波が静まった後も水面下で続いていた一部の感染連鎖が、第2波の引き金となった可能性を示している。

 検査で把握された感染者数を比べると、第2波の流行規模は第1波より大きい。累積感染者数は流行初期から5月末までの約1万7000人に対し、6月1日~8月31日は約5万人とおよそ3倍の規模だった。しかし各期間の死者数はぜんしゃが891人、後者が373人で6月以降の方が少なかった。病院内や高齢者施設内の感染対策が進み、重症化リスクが高い人の集団感染が少なくなっていることや、医療関係者の努力によってCOVID-19の病態の理解が進み、治療法が改善されてきていることなどが関係しているとみられる。

 

 COVID-19を発症するとどのような経緯をたどるのかもわかってきた。発症から1週間程度はウイルスは盛んに増殖しており、免疫系が様々な方法でウイルスを排除しようとする。その際に発熱や局所的な炎症が起こるが、これは免疫系が活発にウイルスと戦うことで起こる正常な反応だ。体温の上昇は細胞に入り込んだウイルスが増殖するスピードを抑え、炎症は全身の免疫細胞を感染部位に呼び集めるための狼煙の役割を果たす。感染者の8割はこの段階でウイルスをうまく排除でき、特に治療をしなくとも回復に向かう。

 しかし、重症化する残りの2割の人では病態が次第に変化していく。ウイルスに対する免疫系の反応そのものが体に異常をもたらすのだ。免疫系に備わるアクセルとブレーキのバランスがうまく取れなくなって免疫系が暴走する「サイトカインストーム」という現象が起き、体内で炎症を起こす物質が大量に作られる。合図のために上げた狼煙の火が周辺の建物に燃え広がるように、炎症反応が全身の様々な場所で起こるようになる。

 血管の壁を構成する血管内皮細胞がダメージを受け、血管を固める凝固反応も起こりやすくなる。その結果生じた小さな血のかたまりが全身を巡り、腎臓や心臓、脳など様々な臓器の微小血管に詰まってしまう。すると今度は腎不全や心不全脳梗塞が引き起こされる。当初のウイルスの感染部位から離れた場所にも影響が及ぶのだ。症状は、患者の持病やサイトカインストームの程度などによって長引く場合がある。入院期間が1カ月以上と長期にわたるケースがあるのはそのためだ。

 一方、はじめ盛んだったウイルスの増殖は、免疫系の反応によって遅くとも2週間程度で鈍くなり、体内のウイルス量は次第に低下していく。しかし、これは必ずしも病気の治癒を意味しない。体内からウイルスが消えても、免疫系の暴走が続いていれば、全身の様々な炎症症状が続くことになる。国立感染症研究所でCOVID-19の病理研究に携わる感染病理部長の鈴木忠樹氏は「発症からの経過が長い場合、死亡した患者の体内にウイルスが見つからないこともある」と話す。

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以上の話によると、重篤化はウイルス本来の毒性によるものというより、自己の免疫系の暴走「サイトカインストーム」によるもの、のようだ。これは免疫系に混乱を生じさせているということだから、他のウイルスや細菌でもありうるようにも思える。ワクチンなどで免疫系に経験を踏ませることで、このような暴走や混乱が起きないようにするということだろうか。

第2波は第1波のウイルスが水面下で感染を広げていて起きたということだ。すると第3波も多分そうなるし、また外国人の入国で新たなウイルスが持ち込まれることも十分ありうる。この秋から冬にかけても感染の再再拡大は確実に起きることとして備えておく必要がある。