歴史が面白い140

令和2年11月1日

  <11月1日>

イングランド再封鎖。英政府は10月31日、首都ロンドンのあるイングランドで約1か月間の限定的なロックダウン(都市封鎖)を実施すると発表した。オーストリアポルトガルも同日、制限の強化を表明した。

イングランドの規制は11月5日から12月2日まで。スーパーマーケットなど生活必需品を扱う店を除き商業施設は閉鎖される。飲食店は持ち帰りや宅配以外の営業は認めない。市民は在宅勤務が難しい場合の出勤や通学、生活必需品の買い物、運動などのほかは外出できない。学校や大学などの教育機関は閉めない方針だ。

オーストリアのクルツ首相も10月31日、11月3日から月末まで部分的なロックダウンを実施すると発表した。持ち帰り以外の飲食店営業を禁じるほか、仕事や通院、運動などを除き午後8時から午前6時までの外出を制限する。

ポルトガル政府も10月31日、首都リスボンを含む多くの地域で11月4日から可能な限り在宅を求めると発表した。(日本経済新聞11月2日)

 

欧州経済 失速避けられず新型コロナウイルスの感染が急拡大している欧州主要国が、軒並み1か月程度の行動規制に踏み切る。各国とも消費が活発化するクリスマス休暇前の再開を目指して封じ込めを急ぐ構えだが、回復の足が止まりつつあった欧州経済の二番底シナリオが現実味を増してきた。

英国では10月31日に2万1915人の新規感染確認が発表され、累計患者数は100万人を超えた。入院者は足元で約1万1千人と4月のピークの約6割に膨らみ、医療体制の逼迫が懸念されている。

フランスは10月30日から外出を禁じる行動規制を全土で再導入した。ドイツは11月2日から飲食店や娯楽施設の営業を禁じ、ベルギーも同日から営業停止の対象をスーパーなどを除く小売店全般に広げる。

7~9月期のユーロ圏域内総生産(GDP)速報値は前期比12.7%増えた。経済再開で過去最大の伸びになったが、金融市場では10~12月期に再びマイナス成長に陥る可能性が意識されている。(同)

 

コロナ下、ハロウィーン様変わり。31日夕、渋谷駅では「今年のハロウィーンは外出自粛モードで安全に!」と大きな看板。同様な旗があちらこちらに掲げられていた。区は今年、長谷部健区長が新型コロナウイルス対策で来訪自粛を呼び掛けていた。仮装した人はまばらだ。むしろ目立つのは警察官や区が雇った民間警備員の姿。警戒にあたった区の職員は「仮装した人は昨年より大幅に減った。年々増えていた外国人観光客や見物の人も少ない」と胸をなで下ろした。空が白み始めるころ、ボランティアの人らがごみを拾う姿が。「今年は想像以上にごみが少なく驚いている」とボランティアに来た人が話す。(朝日新聞11月2日)

 

(コメント)

欧州全域にロックダウンに近い状況となった。

クリスマス前にロックダウンを解除し、経済を立て直したいようだ。夏のバカンスの発散ぶりを見ると、解除後はまた大騒ぎする事態になるのではと思える。これは結局はお国ぶりである。感染の急拡大ではあるが、第1波と比べると死者は減っている。スペインで約4分の1、フランスやイギリスで約5分の1、イタリアで約6分の1程度である。第1波のときは医療崩壊で減少の度合いが大きいところほど酷かった。これはよかった点であるが、今回の措置はその悪夢の医療崩壊が念頭にある。

 

在英国際ジャーナリスト木村正人氏がヤフーニュースに「中国になれない欧州の悲劇」に欧州が第2波を防げなかった6つの理由を挙げている。

1)経済への影響を恐れて厳しいコロナ対策を継続できなかった。

第1波のあとのホリデーを解禁するなどコロナ対策を緩めてしまった。

2)裏目に出た自由放任主義

基本的に自由主義個人主義が根付く欧州では国家権力の介入を嫌う傾向があり、とくに若者たちは第1波の規制が解除されたとたん、パブやバーで飲めや歌えのどんちゃん騒ぎを繰り広げた。その結果「見えない感染」を家庭の中まで広げてしまった。

3)国境を越えた移動の自由が認められている

ある程度コロナ危機で制限されたものの、移動・接触制限が緩和されて人の行き来が活発になると感染拡大はとめられない。

4)移民社会

欧州は多くの移民を抱えている。低所得者層の移民は狭いリモートワークができない仕事をしているケースが多く、狭い住宅に住んでいるため感染のホットスポットになる恐れがある。

5)中央集権的でないことがハンディに

中央集権国家のフランスさえも第2波の拡大を防げませんでした。一方、他のEU加盟国は連立政権が多く、地方分権も進んでいるため、強力な国家介入を決断できないというハンディを抱えている。

6)緊縮財政で医療逼迫している

欧州債務危機を乗り切るため緊縮財政が敷かれ、多くの国で平時から医療が逼迫している。

 

さらに木村氏はロンドンの状況を続報「ハローウィンで感染爆発は制御不能に・・」で、『11月2日から外出禁止令が引かれるとなると、ハローウィンに合わせて「最後の晩餐」ならぬ「最後のどんちゃん騒ぎ」が繰り広げられるのは必至だ。都市封鎖をするならハローウィン前にするべきだ』としているが、実際はハローウィン当日にジョンソン首相が11月5日から都市封鎖をすると発表している。

そして守らない訳として『延々と続く接触制限にみな嫌気がさして、コロナ対策を指揮するジョンソン首相やマット・ハンコック保健相に対する信頼感がなくなっている。

コロナ患者で集中治療室(ICU)ベッドが足りなくなってきているにもかかわらず、誰も政府のガイダンスを信じようとせず、感染拡大国からイギリスに帰国したり入国したりした場合の2週間自己隔離も守らない人が少なくない。』

自由主義個人主義が根付く欧州では重い罰金を伴う強力な介入措置でも導入しない限り、自粛の呼びかけはないも同然だ。』

 

つまり、都市封鎖が二回目であるが、前回の都市封鎖の解除後は全く元の生活に近い形に戻った人が多かったということである。そして封鎖が始まりそうだとみると、最後のどんちゃん騒ぎをする。日本人として信じられないようなことである。日本のハロウィーンが外国人にとって信じられないことなのかもしれない。