歴史が面白い142

令和2年11月3日

  <11月3日>

日本から渡航「陰性」義務。東京にある中国大使館は3日までに、日本から中国に渡航する全員に新型コロナウイルスのPCR検査と抗体検査の両方で陰性であることを義務付けると発表した。中国への直行便に乗る2日以内に指定された検査機関で両検査を受け、ともに陰性であることを証明して搭乗する必要がある。

日本からの渡航者には9月から72時間以内のPCR検査を求めていたが、入国時検査をさらに強化する。(日本経済新聞11月4日)

 

都内の感染者にカウント新型コロナウイルスの感染を唾液で判定する手法の普及に伴い、東京都内の医療機関に検体を送付して陽性と判明した地方在住者が都内での感染者としてカウントされるケースが増加している。感染症法上、都内の医療機関で陽性となった場合には都内の保健所に報告される仕組みが要因。10月20日から26日までの1週間では、都内の感染者系1084人のうち、こうした検査での陽性者は40人に上った。前週は10人だった。都のモニタリング会議では、都内の感染状況を分析する上で参考にできないため、この人数を除いて評価することになった。(同)

 

抗体薬開発 急ピッチ新型コロナウイルスの感染から回復した人の抗体を使った薬や治療の研究が進んでいる。新型コロナ克服の切り札となる可能性があるが、国内では研究に必要な回復者の血液を確保する仕組みが不十分だ。

新型コロナに感染した米トランプ大統領は10月、米製薬企業リジェネロンが開発する未承認の人工抗体を投与された。退院後効果を絶賛した。同社と米製薬企業イーライリリーは、FDAに開発中の人工抗体の緊急使用許可を申請した。米政府は生産体制の整備などで両社を支援し年末までに100万回分を確保する意向だ。

感染して回復した人の抗体は、新型コロナを標的にする。一般に副作用が少なく、抗体を人工合成する技術も整い、従来型の薬より短期間での開発が期待できる。ただ抗体は多種多様で、効きの鋭さが違う。治療の決定打となる人工抗体の開発には数年かかる見込みで、世界中の企業が有望な抗体の探索にしのぎを削る。

世界でもユニークな開発路線を採るのが福島県医大だ。東日本大震災の復興事業で開発した抗体探索の新技術を活用した。同大はIgAという種類の抗体に着目する。血液中だけでなく、新型コロナが感染する鼻やのどの粘膜にも分泌される抗体で、人工抗体になれば新型コロナの治療と予防の「二刀流」で使える可能性がある。人工抗体はがんなど様々な病気に対して世界で70種以上開発済みだが、IgA抗体の承認薬はない。

国立国際医療センターは抗体が含まれる回復者の血漿を400ミリリットルずつ採取し、中程度の症状の感染者に投与する血漿療法の臨床研究を始めた。これまでの提供者はのべ90人で、投与したのは4人。約60人に投与する計画だ。同センターの忽那賢志医長は「入院から3日以内に投与し、ウイルスの増殖を抑える効果を期待している」と話す。

武田薬品工業は欧米の企業などと共同で回復者の抗体を精製した「高度免疫グロブリン製剤」の開発を進めている。今後、日米など18か国で入院患者500人に投与する計画だ。

薬に適した抗体を見つけるには、回復者の血液の提供数が重要だ。しかし国内で十分な数を確保するのは難しい。

新型コロナの感染は高度な個人情報で、研究目的で保険所や医療機関の協力は得にくい。米国では企業が有償で血液を集め、研究者に販売する仕組みがあるが、日本では過去に売血が社会問題になり、血液法で血液を有償で採取することが禁じられている。福島県医大は都内などの医療機関に協力を仰いだが、集まった血液は約40人分で、米国から血液を輸入して補っている。(読売新聞11月4日)

 

(コメント)

新型コロナの治療薬で決め手となるものはまだないようだ。しかし第一波のときと違い、今はまったく手探りの状態ではないようだ。国立国際医療センターの忽那賢志医長によると、発症から1週間以内の初期には抗ウイルス作用のあるレムデシビル、過剰な炎症反応が起こっている発症後約7日以降には抗炎症作用のあるデキサメタゾンを使用するというのが今の標準治療となっているようだ。これにより日本の死者が大幅に減る要因の一つとなっている。

トランプ大統領に投与されて注目を浴びた人工抗体薬については、今開発は中止されているようだ。理由は重症患者には効果がなかったからということだ。

これも発症から初期は効果があるが、時間がたち重症化した患者には効果が期待できないという例だ。

日本の抗体薬の開発は福島県立大のほか、9月には名古屋大学国立病院機構名古屋医療センターの研究グループも新型コロナウイルスを捕まえ不活性にする「人工抗体」を作製しており、今後が期待されている。

治療薬もワクチン同様になかなか簡単にはいかない。