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令和2年12月2日

  <12月2日>

英、コロナワクチン承認。英政府は2日、米製薬大手ファイザーなどが開発する新型コロナウイルスのワクチンの使用を承認したと発表した。7日にも医療機関などで接種を始める。米国も中旬にも接種が始まる見通しで、パンデミック収束に向けた期待が欧米で高まっている。英政府は同ワクチンを4000万回分(2000万人相当)調達する契約を結んでおり、介護施設の入居者や職員、医療従事者、高齢者らに優先接種する。

日本経済新聞12月3日)

 

コロナ克服への迅速承認。WHOの専門家は、ワクチン接種によって集団免疫を達成してコロナを克服するには、接種率が65~70%に達することが必要だと指摘する。

今回、英国で承認された米ファイザーらは2021年末までに6.5億人分を世界で製造する予定だ。米モデルナも、21年に2.5憶人~5億人分の生産を計画している。順調に進めば両ワクチンだけでも、21年末までに最低でも9億人に行き渡る。

英国では大学教授らでつくる独立委員会が①介護施設の入居者やスタッフ②80歳以上の高齢者や医療従事者③75歳以上④70歳以上、深刻な基礎疾患を持つ人など、といった順番で優先してワクチンを接種するように政府に提言した。

ファイザーとビオンテックのワクチンの場合、セ氏マイナス70度で保管する必要がある。ビオンテック幹部は2日の記者会見で「冷蔵庫(2~8度)では最長5日、冷蔵輸送(2~8度)では最長6時間」が使用限度だと説明した。フランスのマクロン大統領は「12月末か、1月初めごろに接種を始められそうだ」と語る。11月30日に仏調査会社によると、仏国民の59%が接種を受けるつもりはないと答えた。(同)

 

抗体、半年後も98%横浜市立大学は2日、新型コロナウイルスに感染した人の体内にでき、再度の感染を防ぐ作用を持つ「中和抗体」が半年後も98%の人で残っているとの調査結果を発表した。少なくとも半年間は再感染のリスクを低減でき感染拡大を防げる可能性がある。1年後も残っているかも調べる計画だ。

調査は新型コロナウイルスに感染して回復した人の協力を得た。検査で陽性と判明してから約6か月後の血液を調べた。今回は376人分をまとめた。中和抗体は重症や中等症だった人では全員で、軽症や無症状だった人では97%で検出された。(同)

 

コロナ専門病院 退職次々「戦う術ない」新型コロナウイルス感染者の急増で、各地で医療体制が逼迫している。全国初のコロナ専門病院となった大阪市立十三市民病院では、医師や看護師の相次ぐ退職でコロナ患者を計画通り受け入れられず、他の市立病院などから医師や看護師の応援派遣を受けて急場をしのぐことになった。

4月14日、松井市長が十三市民病院をコロナ専門病院にすると表明。4月16日から外来や初診、手術を順次休止し約200人いた入院患者全員を転退院させ、出産予定だった280人の受け入れ先探しは難航。元々あった結核病棟で20人近くのコロナ患者を受け入れていたが、他のフロアで感染防止の工事を進め、5月から90床での受け入れを始めた。

しかし、6月ごろから、医師や看護師らが次々と辞めていった。10月までに医師4人、看護師14人を含む25人ほどの職員が病院を離れた。本来の専門分野の患者を診られなくなった医師や分娩に立ち会えなくなった産科の看護師らがいた。離職を防ごうと、7月から産科以外の外来を再開したが、利用者はコロナ禍前の半分程度にとどまる。また、コロナに感染した入院患者の約半数は80代で、食事や排せつの介助が必要な人が多く、看護師不足に拍車をかけた。

ほかにも課題はある。中等症専門の十三市民病院にECMOはなく、人工呼吸器も2台しかない。西口院長は「うちには戦う術がない。一つの病院に負担をしいるのはおかしい。可能なら、専門病院の名前を外してほしい。」と訴えた。(朝日新聞12月3日)

 

(コメント)

十三市民病院が医療崩壊の一歩手前の状況だった。周りが余裕があったので縮小して持ちこたえているようだ。これが地域全体に余裕がなくなると厳しい。医療現場の負担もすさまじいものになるが、患者もリスクを負う。第3波は重症者が多いので、死亡者がさらに急増する可能性がある。第2波で死亡率が下がったような手厚い処置が受けられなくなるからだ。

 

病院関係者によると、最近では病院側が受け入れを控えて様子見する傾向もある。長期戦によるスタッフの疲弊や、通常診療への影響から来る経営上の打撃が主な理由という。関係者の間では「コロナ患者を受け入れてきた病院は第1波、第2波で懲りている」「コロナに非協力的な病院ほどダメージは少ない」とささやかれている。(読売新聞12月3日)

 

受け入れに消極的になっているのは、十三市民病院の例などもみているのだろう。医療従事者のボーナスも全国平均で40%も減らされているという。病床使用率だけをみているのではなく、劣悪な待遇となっている医療従事者も目を向ける必要がある。今の段階でその一番の原因がコロナによる経営悪化である。コロナに関わると経営がおかしくなるのではおかしい。感染症として2類感染症以上の扱いとしている国がしっかりと経営支援をしないといけない。