歴史が面白い327

令和3年5月8日

  <5月8日>

官邸 休業継続、寝耳に水。政府が5月末までの延長を決めた緊急事態宣言は百貨店など大型商業施設への休業要請を巡り土壇場で迷走した。菅義偉首相は営業再開を打ち出し、東京都の休業要請の継続は寝耳に水だった。新型コロナウイルスの感染を食い止める重要局面で、足並みの乱れが改めて浮き彫りになった。(日本経済新聞5月9日)

 

高齢者「7月完了」へ難路新型コロナウイルス対策で高齢者向けのワクチン接種が10日の週明けから本格化する。これに先立ち菅義偉首相は7日、7月末の高齢者への接種完了実現に向けて「1日100万回接種」という新たな目標を示した。ワクチン接種は日本経済の回復軌道を大きく左右するだけに、出遅れていた接種を加速させたい思いがにじむが、その道のりは険しい。(同)

 

感染対策徹底の飲食店 自治体が「合格店」認証。飲食店などの新型コロナウイルスの感染防止対策に関し、自治体が店舗を実際に点検し「合格店」を独自に認証する取り組みが広がっている。

滋賀県は飲食店向けに独自の認証制度を導入した。和歌山県は飲食店や宿泊施設、商業施設の感染対策を現地で確認し「認証マーク」を交付する制度を4月下旬に開始した。(同)

 

中国 ワクチン外交加速へ。WHOが7日、中国の国有製薬大手「中国医薬集団}(シノファーム)の開発した新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を承認した。欧米以外のワクチンが承認されるのは初めてで、中国は「ワクチン外交」での攻勢を一層強めそうだ。(読売新聞5月9日)

 

特許停止 先進・途上国に溝新型コロナウイルスワクチンの特許権保護を巡り、一時停止を求める途上国と先進国の溝は深い。先進国の中でも、輸出を続けるEU諸国と輸出を規制する米国の間の不協和音も高まる。ワクチンを巡る対立は三つどもえの構図となっている。(同)

 

接種後死亡 報告悩む新型コロナウイルスのワクチン接種後に死亡した人を巡り、副反応の疑いがあるとして国に報告するかどうか、各地の医療機関は難しい判断を求められている。北海道旭川市旭川赤十字病院では、接種翌日に死亡した男性について、因果関係はないとみていったん国への報告を見送った後、遺族の意向を受けて4月に急きょ、報告したケースがあった。

厚労省の担当者は「報告するかしないかは現場の病院に任せている。広く報告してもらう分には問題はない」と話す。同省には4月27日までに19例の死亡例が報告された。(同)

 

(コメント)

ワクチンの特許権保護の一時停止を巡り、三つどもえとなって混乱しているという。

米国とフランス・イタリアが賛成し、ドイツなどその他EU諸国は反対のようだ。

そもそも一時停止の提案は昨年10月、インドと南アフリカが提起し、ケニアエスワティニ、モザンビークパキスタンの4カ国が共同で提出したもの。

知的所有権の壁を取り払うことで技術移転を促し、後発の製薬会社がワクチンを迅速に製造し、安価に提供できるようにすることが狙いだ。

 

前例として、約20年前に抗HIV薬に対してWHOのTRIPS協定にもとづく強制実施権が発動された例がある。

モザンビークザンビアジンバブエインドネシア、マレーシア、ブラジルで、特許権者の同意なしで政府が国内メーカーに実施権を付与した。これらの動きは、抗HIV薬の価格を大幅に下げ治療薬へのアクセスを促進した。

今回の動きも同様な結果をもたらすと期待しているようだ。

 

ただ、今回はワクチンの製造は難しく、特許の停止だけでは接種の回数は増えないとみている。ワクチンでは開発者と製造者の緊密な協力が必要だと専門家は指摘する。

 

欧米中心で進んでいるワクチン供給が、なかなか先進国の中にも行きわたらない現状に、途上国から一石を投じて局面打開を図る目的もある。

そして何より価格を低下させる効果が大きいのではないか。